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ホーム全日病第801回/2013年5月15日号医療保険部会 国民会議の議論...

医療保険部会 国民会議の議論に不満が噴出

医療保険部会 国民会議の議論に不満が噴出

 

 5月10日の社会保障審議会医療保険部会で、社会保障制度改革国民会議の議論に、批判が噴出した。
 事務局(厚労省保険局総務課)は国民会議が4月22日にまとめた「議論の整理(医療・介護分野)」を報告し、「ここには当部会の諮問事項が多く含まれている。これを踏まえ、部会としてのご意見をまとめたい」と説明。同日を含めて3回にわたって各委員の意見陳述を得て、その結果を報告にまとめて国民会議に資料提出することを明らかにした。
 これに対して、保険者の委員からは、「議論で取り上げられているのは、支援金をめぐる総報酬割と国保の都道府県化だけだ。こんな狭い範囲でしか議論されていないことに失望した」など、長い時間かけて医療保険制度持続に向けた諸課題の検討作業をしてきた同部会の立場から、“不十分”な国民会議の議論内容に不満が相次いだ。
 「国民会議は方向性を示す場。具体的問題や議論できていないところはこの部会ですればよい」と、制度改革議論における社保審の立場の確認を求める意見も多く出た。
 国保の都道府県化、基金と医療計画等による医療機関再編など都道府県が改革の主役となる構想に対しても、「これは数名の意見。国民会議全体の意見とは言えない」「国保の都道府県化と提供体制の変化がどう関係するのか、そのメリット・デメリットが不明確だ」など、支持する意見は出なかった。
 とくに、「保険医療機関の指定・取り消し権限を都道府県に委譲する」案には、「これでは都道府県の事情で指定・取り消しが行なわれ、都道府県格差が進んでしまう」と、批判が集中した。
 国民会議には社保審の委員が5人いるため、社保審の問題意識が国民会議に反映されておかしくない。しかし、医療保険部会の議論の外で、消費税増税分の投入を前提に改革論を展開していることは納得いかないという気分が、同部会にはあるようだ。