全日病ニュース

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控除対象外消費税で新たな対応。病院と診療所で別対応を提案

控除対象外消費税で新たな対応。病院と診療所で別対応を提案

「課税を求める原則を踏まえつつ、色々な可能性を探っていきたい」

医師需給の議論には四病協あげてしっかり対応したい

西澤 さて、年末に「医療従事者の需給に関する検討会」が設置され、その下に、医師の需給について検討する分科会が付設されました。これは大変重要な検討会だと思います。
加納 初会合の冒頭に、山崎先生が、医師不足の現状と課題について病院の立場から分かりやすい説明をされました。まさに、おっしゃった通りで、医師については、不足しているとする病院と足りているとみる診療所との間に、どうも認識のずれがあります。我々は、今なお、紹介会社に莫大なお金を払って医師を確保しているわけですから、医師が過剰ということであれば、何をもって過剰とみなすかという点をしっかっり詰めていかなければならないと思いますね。
山崎 こういう重要な会議には各病院団体の会長が出席して討論に入っていかなければならないと思います。そうしないと、事務局が机上でまとめた、我々の思いとは全然違う内容の報告書が書かれる可能性がありますから。それだけに、検討会の開催回数ももっと増やすように事務局に申し入れなければならないと思っています。
 それと、自由に開業できるために勤務医が減って病院が疲弊していくという問題だけでなく、大学に残らずにフリーランスとなって日当稼ぎに精を出す医師が出てきており、そうした医師がまた紹介業者を儲けさせているという問題もあります。私は、こうしたことに国として規制をかけなければならないだろうと思っています。
 医師といっても色々で、一括りに論じるのはおかしいですよね。
西澤 確かに、十把ひとからげにして、人口10万人当たり医師何人という議論はとても乱暴だと思います。それに、欧米と比較する場合には同じ基準でやらないとだめです。例えば平均在院日数の場合だと、欧米は急性期だけなのに日本は全部入れて計算されるし、医師の数にしても、欧米はある年齢で切っているみたいですね。
山崎 年齢で保険医を足切りしています。
西澤 ところが日本の医師、医療従事者は何歳になっても現役です。
山崎 そう、80でも90でも。(笑)加納 1回目の検討会に出た資料にしても、医師数は西高東低で、関西以西が非常に多いとされています。しかし、例えば福岡にしても明らかに医師が不足しています。それだけに、どこをもって過剰とするかという点をはっきりしてもらう必要があります。
西澤 本来はきちんと補正した上で比較しなければなりません。その辺りは議論に資するようなデータを基にしていかないと…。
山崎 精神病床でいうと35 万床が多いということになっているのですが、そもそも精神病床の定義が違うのです。
 外国では急性期の患者に対応するベッドしか精神病床と言わないんです。わが国では精神療養病床だけで10万床あるわけですから、OECD床は15万病床程度しかないのです。
 例えばアメリカやカナダに行くと日本は何で多いのかって言うんですが、向こうはナ—シングホームなどは病院のベッドとしては数えてないですよね。
山崎 平均在院日数も同じバイアスをかけているんです。というのは、外国は精神科の在院日数は急性期しか計算していないんです。しかも、アメリカなんかは保険者が1週間しか給付しないっていうと、8日目からは自費になるので皆退院しちゃうので、その1週間分の病床しか報告しなくてもいいといったように、国によってルールがそれぞれ違うわけ。ところが、日本は、精神療養病床に20年入ってる患者もカウントするので平均在院日数が300 日になる。これもOECDの基準で計算すると55日くらいなんです。つまり、ほとんど変わらないんです。それを300日の方ばかり発表するんです。
西澤 それだけに、需給について議論する場合もきちんとしたデータが必要ですね。それと、検討会と分科会の関係も注意しないとだめですね。どうも、事務局の話を聞くと、検討会は分科会の議論取りまとめの報告を受けるだけにもなりかねませんから。
 四病協としても頻回に情報を交換して我々の意見を反映させていかないといけませんね。
山崎 会長会議などを利用して打ち合わせを頻回にやっていきましょう。

四病協は今以上の組織になっていかなければならない

加納 地域医療構想だけでなく、消費税にしても、医師需給にしても、私は、四病協が病院を代表する発言を常にしていけるよう、今以上の組織になっていくことを願っています。
西澤 まったく同感です。四病協は、日本を代表する4つの病院団体が毎月顔を合わせて議論する場ですし、各種の委員会だけでなく会長会議を開くなど、情報交換と意思の疎通を密にしています。こういう体制と関係を今後も崩さずに、今まで以上に団結していくべきだと思いますね。
 とくに、地域医療構想策定あるいは地域医療構想調整会議に向けて、各地で病院団体の存在感が問われています。今後とも、データにもとづいた建設的な議論を重ねながら、各地の支部や病院団体の意見も受け入れながら、2025年に向けて、より国民・患者の利益を護るとともに医療者が誇りをもてるような医療提供体制を目指して団結してまいりましょう。新年早々、有意義なお話をありがとうございました。

註)消費税対応に関する日医・四病協の「合意」について
11月25日の四病協総合部会は、消費税について、下記のとおり政府税調に申し入れる方針を承認した。同方針は同日の日医・四病協懇談会でも合意・確認された。
(1) 病院に関して 病院における消費税の負担は深刻である。すべての仕入れ税額控除を受けることができる方式とする。
(2) 診療所に関して (略)

 

全日病ニュース2016年1月1日・15日合併号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 第786回/2012年9月15日号

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2012/120915.pdf

    厚生労働省は8月31日に専門医の在り方に関する検討会の「中間まとめ」を公表する.
    とともに9月7 ..... 控除対象. 外消費税のうちの高額投資部分は、5%. となった1997年
    改定で初めて考慮され. たことを認めた。 西澤委員は、さらに、控除対象外消. 費税額
     ...

  • [2] 平成24年度 事業報告・決算

    http://www.ajha.or.jp/about_us/plan/jigyou-kessan_h24.pdf

    医療機関における控除対象外消費税(いわゆる損税)は、医療機関の経営を. 圧迫して
    おり、 ... 厚生労働省の検討会で行われている特定看護師に係る議論を踏まえ「医行為
    ... から、当協会会員病院に勤務している医師についての調査を次年度に実施する.

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