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ホーム全日病ニュース(2022年)第1006回/2022年4月1日号2022年度診療報酬改定説明会を全日病が開催

2022年度診療報酬改定説明会を全日病が開催

2022年度診療報酬改定説明会を全日病が開催

厚生労働省保険局医療課課長補佐 金光一瑛 感染防止対策の観点で、前回に引き続きオンライン開催

 全日病は3月14日から21日まで、2022年度診療報酬改定の告示・通知等の発出に伴う改定内容の説明会をオンライン(映像配信)で開催した。新型コロナの感染防止対策の観点で、オンライン開催となるのは、2020年度改定に引き続き2回目となる。説明は、厚生労働省保険局医療課の金光一瑛課長補佐が行った。以下で、その発言要旨を掲載する。

改定率と特例対応、基本方針
 2022年度診療報酬改定の改定率はプラス0.43%となった。うち看護の処遇改善のための特例的な対応(プラス0.20%)と不妊治療の保険適用のための特例的な対応(プラス0.20%)があり、リフィル処方箋の導入・活用促進による効率化(▲0.1%)、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来(▲0.1%)を除くと、プラス0.23%である。
 薬価等は▲1.35%であり、うち実勢価等改定が▲1.44%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応がプラス0.09%である。材料価格は▲0.02%。
 なお、上記のほか、新型コロナの感染拡大により明らかとなった課題等に対応するため、良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から、看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化など7項目が、政府の予算編成における決定事項として盛り込まれた。
 看護職員の処遇改善については、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10月以降収入を3%程度(月額12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを、2022年度診療報酬改定において創設することになっており、今後中医協で議論される予定である。
 社会保障審議会医療保険部会・医療部会が策定した2022年度改定の基本方針の重点課題には、「新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築」、「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革の推進」が位置づけられた。

急性期・高度急性期入院医療
 急性期・高度急性期入院医療については、新型コロナの感染拡大において果たした医療機関の役割等も踏まえ、さらに機能強化、連携が進むよう見直しを実施する。
 一般病棟入院基本料は、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう、「重症度、医療・看護必要度」による評価の適正化を実施するとともに、入院料の再編を含めた見直しを実施する。あわせて、高度かつ専門的な医療および高度急性期医療の提供に係る体制を有する医療機関を新たに評価する。
 一般病棟入院基本料の急性期一般入院料は、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目を見直す。「重症度、医療・看護必要度」の見直しは、公益委員による裁定で決着した。
 具体的には、A項目の「心電図モニターの管理」の項目を削除し、「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更し、「輸血や血液製剤の管理」を1点から2点に引き上げた。該当患者割合を変更し、200床未満の病院に対しては緩和している。
 また、200床以上の病院でも200床未満でも、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」と、レセプト電算処理システム用コードを用いた評価である「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」の間に3ポイントの差を設けており、「Ⅱ」を選択すると満たしやすくなる。
 急性期一般入院料の分類を7段階から6段階へ再編し、機能分化を後押しする。「Ⅱ」を用いた評価の要件化について、病床数200床以上の急性期一般入院料1まで拡大する。
 高度かつ専門的な医療および高度急性期医療の提供に係る体制を十分に確保している場合を評価する観点から、急性期充実体制加算を新設する。イメージとしては、全身麻酔の手術等の高い実績や、専門的な知識を有する医療従事者による集中治療とともに、重症救急患者に対する医療や、自宅や後方病床等への退院を支援する機能を評価する。
 施設基準では、急性期一般入院料1を届け出ていることや、総合入院体制加算を届け出ていないことなどを定めている。手術等や24時間の救急医療体制の実績要件では、300床未満の病院に対して、別の実績要件を設けた。また、精神科充実体制加算も新設している(下図を参照)。
 また、術後疼痛管理チームによる疼痛管理の評価として、術後疼痛管理チーム加算を新設する。手術室の薬剤師が病棟の薬剤師と薬学管理を連携して実施した場合の評価として、周術期薬剤管理加算を新設する。管理栄養士が行う周術期に必要な栄養管理の評価として、周術期栄養管理実施加算を新設する。
 救急医療管理加算については、「1」を950点から1,050点に、「2」を350点から420点に引き上げた上で、適用欄記載事項の見直しなどを行っている。対象患者の一部の状態について、緊急入院が必要であると判断した医学的根拠を診療報酬明細書に記載することを要件とする。DPCデータの入力において、救急医療管理加算の対象患者の一部の状態について、状態指標を記載する時点の明確化を行う。
 一般病棟入院基本料の地域一般入院料は、データ提出加算を要件化し、データに基づく評価を推進する。

特定集中治療室管理料等
 特定集中治療室管理料等は、早期の回復への取組促進や、新興感染症等の有事にも対応できる人材育成も踏まえた新たな評価を実施する。早期回復を目的とした取組みをさらに推進する。
 具体的には、「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」を導入し、看護職員の負担を軽減する。「Ⅱ」では、該当患者割合を下げている。新興感染症等有事にも対応できる体制の構築を図る観点から、重症患者対応体制強化加算を新設する。重症患者等に対する支援に係る評価を推進する観点から、重症患者初期支援充実加算を新設する。
 重症患者対応体制強化加算では、5年以上の経験を有する専従の常勤看護師や5年以上の経験を有する専従の常勤臨床工学技士を各1名以上求めているほか、看護師2名以上を施設基準に設定している。「看護師2名以上」は、当該治療室の施設基準に係る看護師の数に含めることはできない。
 重症患者初期支援充実加算では、患者の治療に直接関わらない専任の担当者である入院時重症患者メディエーターが、医療従事者とともに、患者・家族に治療方針・内容等の理解・意向の表明を支援する体制を整備している場合の評価となっている。
 また、早期回復を目的とした取組みに係る評価の対象病室の見直しなどを実施する。早期回復を目的とした治療室において、ECMOなどを実施する場合の算定上限を延長するとともに、人工呼吸やECMOに係る新たな評価を設定する。
 早期からの回復に向けた取組みでは、早期栄養介入管理加算を経腸栄養の開始の有無に応じた評価に見直すとともに、早期離床・リハビリテーション加算を含め対象となる治療室を見直す。

地域包括ケア病棟入院料等
 地域包括ケア病棟入院料等は、①急性期治療を経過した患者の受入れ②在宅で療養を行っている患者等の受入れ③在宅復帰支援という3つの機能に応じた評価の見直しを行っている。在宅医療の提供や、在宅患者の受入れに係る評価を推進するとともに、自院一般病棟からの受入割合が高い場合の評価を適正化し、実態を踏まえた評価を推進する。
 一般病床において地域包括ケア病棟入院料等を届け出ている場合は、救急告示病院等であることを要件化する。200床以上の病院で、自院一般病棟からの転棟割合を6割未満とし、満たさない場合の点数は100分の85とする。在宅医療に係る実績を全体に要件化し、水準も引き上げる。在宅復帰率の水準を引き上げることなどを行うとともに、100床以上の病院で入退院支援加算1の届出を要件化する(右図を参照)。
 また、初期加算はきめ細かく見直しており、特に、在宅患者支援病床初期加算において、老人保健施設からの受入れは300点から500点に増点している。自宅・その他施設では、300点から400点に増点している。

回復期リハ病棟入院料
 回復期リハビリテーション病棟入院料は、質の高いリハビリテーションを推進する観点から、重症患者割合を引き上げるとともに、実績等の低い入院料を適正化して再編する。
 入院料の分類を、6段階から5段階へ再編し、入院料5は新規届出用の入院料として設定する。具体的には、届出後、2年間の時限算定となるが、2年間というのは、診療報酬改定の間の2年間ではなく、各医療機関の届出から起算しての2年間としている。
 入院料1・3については、公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けていることが望ましいとの規定を設けた。
 また、回復期リハビリテーションを要する状態について、「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態」を追加し、算定上限日数を90日以内とする。

療養病棟入院基本料
 療養病棟入院基本料は、療養病棟において、さらなる質の高い医療が行われるよう中心静脈栄養患者に係る要件を追加する。病棟に入院している患者や行われている医療等を踏まえ、経過措置病棟の評価を適正化する。
 具体的には、中心静脈栄養を実施する場合は、嚥下機能評価等を要件化する。患者の摂食機能または嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合は、医療区分2の場合に相当する点数を算定する。
 経過措置病棟において、リハビリテーションを実施する際のFIM測定を要件化するとともに、FIMの測定を行っていない場合は、1日につき2単位までの出来高の算定とし、医療区分1の場合に相当する点数を算定する。経過措置病棟の入院基本料は100分の85から100分の75に相当する点数に適正化する。
 障害者施設等入院基本料等は、重度の意識障害を有しない脳卒中患者への評価を、療養病棟入院料の評価体系を踏まえ見直す。特殊疾患病棟入院料についても同様の取扱いとする。

DPCや短期滞在手術等基本料
 短期滞在手術等基本料は、短期滞在手術等基本料2を廃止し、2種類に再編し、対象手術も大幅に拡大する。短期滞在手術等基本料3の対象手術は19種類から57種類に増える。
 DPC/PDPSは、医療の質の向上と標準化に向け、診療実態を踏まえたさらなる包括払いを進めていく観点から見直す。医療機関別係数には、新興感染症対応の評価を追加する。

医師等の働き方改革への対応
 働き方改革の推進については、地域医療の確保を図る観点から、早急に対応が必要な救急医療体制等を確保するため、各種の勤務環境の改善を図るとともに、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療を推進する。
 地域医療体制確保加算は、一定の実績を有する小児・周産期医療に係る病院を加え、対象医療機関を拡大し、点数を引き上げる。
 医師事務作業補助体制加算は、経験年数に応じた評価体系とし、点数を引き上げる。当該医療機関における3年以上の医師事務作業補助者としての勤務経験を有する医師事務作業補助者が、それぞれの配置区分ごとに5割以上配置されていることが加算1の施設基準になっている。
 例えば、15対1の加算をみると、加算1の施設基準を満たせず、加算2の975点になったとしても、現状の加算1の970点よりも高い点数となっている。その他の配置区分でも同様である。
 また、看護職員と看護補助者の業務分担・協働をさらに推進する観点から、看護職員と看護補助者に対して、より充実した研修を実施した場合などの新たな評価として、看護補助体制充実加算を新設する。
 診療録管理体制加算は、適切な診療記録の管理を推進する観点から、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を踏まえ、要件を見直す。具体的には、400床以上の医療機関に対し、専任の医療情報システム安全管理責任者を配置し、当該責任者が職員に年1回程度の情報セキュリティ研修を実施することを求める。医療情報のバックアップ体制の確保が望ましいとの規定も設ける。
 入退院支援加算は、連携機関数を増やすとともに、点数を引き上げる。連携機関との情報連携で、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(ビデオ通話)を認める。ヤングケアラーの実態を踏まえ、「退院困難な要因」に新たな項目を追加する。
 データ提出加算は、データに基づくアウトカム評価を推進する観点から、地域一般入院料や障害者施設等入院基本料、緩和ケア病棟入院料などにも要件の範囲を拡大する。

外来医療の分化・連携等
 外来医療では、機能の明確化と医療機関間の連携を推進する観点から、紹介状なしで受診した患者等から定額負担を徴収する責務がある医療機関の対象範囲を見直し、200床以上の紹介受診重点医療機関を追加する。当該医療機関における定額負担の対象患者について、その診療に係る保険給付範囲と定額負担の額等を見直す。定額負担を求めなくてよい場合については、初診と再診で共通の10項目を設けていたが、取扱いを別にして整理した。
 一方で、紹介受診重点医療機関入院診療加算を新設する。地域医療支援病院入院診療加算は別に算定できない。
 また、症状が安定している患者について、医師の処方により医師と薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に反復利用できる仕組みとして、リフィル処方箋を導入する。
 また、リフィル処方箋により、処方箋の1回の使用による投与期間が29日以内の場合は、処方箋料における長期投薬に係る減算規定を適用しない。
 電子的保健医療情報活用加算を、オンライン資格確認システムを通じて、患者の薬剤情報または特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して診療等を実施することの評価として、新設する。2024年3月31日までは、マイナンバーカードを持っている患者がまだ多くないという実態を踏まえ、診療情報等の取得が困難な患者等に対しても、3点を算定できる。

かかりつけ医機能の評価
 かかりつけ医機能の評価では、地域包括診療料・加算を見直す。慢性疾患を有する患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、対象疾患に慢性心不全と慢性腎臓病を追加する。
 かかりつけ医機能を有する医療機関等が、他医療機関の求めに応じて診療情報を提供した場合の評価は、診療情報提供料(Ⅲ)から連携強化診療情報提供料に名称を変更するとともに、算定上限回数を月1回に変更する。紹介受診重点医療機関において、地域の診療所等から紹介された患者の診療情報を提供した場合についても、新たに評価する。難病やてんかんの患者など算定できる対象患者も拡大している。
 機能強化加算は、評価を行うかかりつけ医機能を明確化する診療実績や、地域における保健・福祉サービス機能についての要件を追加する。小児かかりつけ診療料は、時間外対応に係る体制のあり方を考慮した評価体系に見直す。生活習慣病管理料は、投薬に係る費用を生活習慣病管理料の包括評価の対象範囲から除外し、評価を見直す。

感染対策向上加算やオンライン診療
 個別改定項目では、新型コロナの感染拡大の経験を踏まえ、感染対策に係る評価の新設を行う。
 診療所について、平時からの感染防止対策の実施や、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画をさらに推進する観点から、外来診療時の感染防止対策に係る評価として、外来感染対策向上加算を新設する。連携強化加算やサーベイランス強化加算も新設する。
 感染防止対策加算を感染対策向上加算に改称し、平時からの個々の医療機関等における感染防止対策の取組みや、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策の取組をさらに推進する観点から要件を見直す。保健所、地域の医師会との連携や新興感染症等の発生を想定した訓練の実施、新興感染症等の発生時等に患者の受入体制を有し、公開することを求める。
 より小規模の感染制御チームによる感染防止対策に係る評価として、感染対策向上加算3を新設する。指導強化加算や連携強化加算、サーベイランス強化加算も新設する。感染対策向上加算1でなくても、加算を含めれば、高い点数になるので、今回、手厚く評価したと考えている。
 新型コロナ対応の診療報酬上の特例措置は継続する。施設基準関連の柔軟な取扱いも引き続き医療機関がコロナ患者を受け入れられるよう継続する。
 情報通信機器を用いた評価の新設・見直しは、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が改定されたことを踏まえたものだが、「重症度、医療・看護必要度」の見直しと同様に、公益委員による裁定で決着した。
 オンライン診療の初診料は、対面の場合の87%に相当する251点となった。オンライン診療の新たな再診料・外来診療料は73点となった。医学管理料についても、すべて対面の場合の87%に相当する点数を設定した。
 小児入院医療管理料1~5では、不適切な養育が疑われる小児患者に対する支援体制を評価するため、養育支援体制加算を新設する。総合周産期特定集中治療室管理料では、胎児が重篤な疾患を有すると診断された妊婦等への支援として、成育連携支援加算を新設する。
 がん医療では、悪性腫瘍の患者に対する外来における安心・安全な化学療法の実施を推進する観点から、必要な診療体制を整備した上で、外来化学療法を実施する場合の評価として、外来腫瘍化学療法診療料を新設する。
 医療的ケア児等に関わる関係機関の連携を促す対応では、◇診療情報提供料(Ⅰ)注2における情報提供先に、児童相談所を追加する◇診療情報提供料(Ⅰ)注7における情報提供先に、保育所や高等学校等を追加する◇診療情報提供料(Ⅰ)注7における対象患者に、小児慢性特定疾病支援の対象患者およびアレルギー疾患を有する患者を追加する。
 不妊治療の保険適用は、これまで原因を検索する検査や原因疾患への治療で保険適用されている医療技術はあったが、原因不明の不妊などへの治療のための医療技術についても、保険診療の対象とする。
 不妊治療の診療の流れの中で、生殖医療ガイドラインにおいて、推奨度が高い医療技術が保険適用となる。一般不妊治療に係る評価の新設では、一般不妊治療管理料や人工授精がある。生殖補助医療に係る評価の新設では、生殖補助医療管理料や胚移植術などがある。

 

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