全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1013回/2022年7月15日号特別地域連携プログラムの新設を専門医機構が提案

特別地域連携プログラムの新設を専門医機構が提案

特別地域連携プログラムの新設を専門医機構が提案

【医道審・医師専門研修部会】医師不足がより顕著な都道府県での研修期間設ける

 医道審議会の医師分科会医師専門研修部会(遠藤久夫部会長)は6月22日、2023年度専攻医募集におけるシーリングをめぐり議論を行った。日本専門医機構の寺本民男理事長が、医師偏在対策を強化するため、特別地域連携プログラムを新設することなどを提案した。ただ、委員からは、具体的な運用や実効性への懸念の声があがった。
 厚生労働省は、都道府県の意見も聞いた上で、改めて同部会で議論する方針を示した。
 寺本理事長が説明した2023年度のシーリング案は、①足元医師充足率が低い都道府県での研修期間がある特別地域連携プログラムを別途設ける②子育て世代の支援を重点的に行っているプログラムについては、特別地域連携プログラムの設置を条件に基本となるシーリング数に加算を行う―というもの。
 特別地域連携プログラムは、これまでのシーリングにより都市周辺では、専攻医が増加する効果が現れてはいるものの、医師不足の東北地方などでの地域偏在是正効果が限定的であることから設定する。医師不足がより顕著な都道府県への研修期間を設けたプログラムを、新たにシーリングの外枠で設けるという案になっている。
 具体的には、◇連携先は原則、足元充足率が0.7以下である、医師不足がより顕著な都道府県◇採用数は原則、都道府県限定分と同数◇研修期間は全診療科共通で1年以上―としている。
 子育て世代への支援を重点的に行っているプログラムについて、シーリング数に加算を行う提案は、育児介護休業法改正附帯決議への対応を踏まえたもの。育児と仕事を両立できる職場環境が整っている医療機関で研修を行うプログラムにおいて、原則1名をシーリング数に加算できるようにする。
 これらの提案に対し、委員からは具体的な運用や効果に対し懸念が出た。
 日本医師会常任理事の釜萢敏委員は、特別地域連携プログラムについて、「方向性はいいと思うが、実際の運用ができるのか不確実なところがある。新たな取組みを行う場合には、これに関わる専攻医の人たちになるべく早く情報提供し、適切な運用を図る必要がある」と指摘した。また、従来の連携プログラムに対し、「研修の結果、医師の偏在や医師不足地域の医療提供体制に対する影響などの効果は日本専門医機構ではなく、厚労省が分析・評価すべきだ」と要望した。
 また、厚労省は、特別地域連携プログラムについては、「日本専門医機構と基本領域学会がプログラムを作成する際に都道府県と情報共有する」ことなどを論点とした。子育て世代支援加算については、「子育て世代支援加算を認める対象となる医療機関を設定する方法では、育休・産休を取得した専攻医の実績があることを条件とする」ことなどを論点とした。

 

全日病ニュース2022年7月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 2019.12.1 No.953

    2019/12/01 ...日本専門医機構理事長の寺本民. 生参考人が23領域について、「それな ... 日本医師会の釜萢敏委員も同調し、 ... 医師偏在対策を合わせた三位一体の推.

  • [2] 2021.3.15 No.982

    2021/03/15 ...委員・COML理事長)といった意見が ... 本医師会の釜萢敏委員は、「当時(2009 ... 医師偏在対策の進展を検証しつつ、総医師数の抑制を議論.

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。