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ホーム全日病ニュース(2022年)第1013回/2022年7月15日号総件数16.5%の増加だが新型コロナ前の水準には戻らず

総件数16.5%の増加だが新型コロナ前の水準には戻らず

総件数16.5%の増加だが新型コロナ前の水準には戻らず

【レセプト】2021年社会医療診療行為別統計の結果を公表

 厚生労働省は6月22日、2021年社会医療診療行為別統計の結果を発表した。新型コロナの流行がスタートした2020年の統計では、前年よりレセプト総件数が19.3%減少したが、2021年は2020年より増加し、伸び率は16.5%だった。ただ、件数は新型コロナ前の水準には戻っていない。
 社会医療診療行為別統計は、医療の給付の受給者に係る診療行為の内容や傷病の状況、調剤行為や薬剤の使用状況を明らかにし、医療保険行政に必要な基礎資料を得ることを目的に毎年行われる。対象は、2021年6月審査分のレセプトのうち、NDBに蓄積されている全数である。
 2021年の集計対象のレセプト総件数は前年より16.5%増、日数は13.8%増、点数は12.6%増、1件当たり点数は▲3.4%、1日当たり点数は▲1.0%となった。
 集計対象の医科レセプト件数は7,915万件。新型コロナの感染拡大が始まり受診控えが生じた2020年の6,817万件と比べると、16.1%増加した。
 2021年は前年よりレセプト件数が増えてきたものの、新型コロナ流行前の2019年の医科レセプト件数8,510万件を下回っており、「まだ、新型コロナ以前までは戻っていない」(厚労省担当者)。歯科や薬局調剤のレセプト件数も同様の傾向である。
【医科・入院】
 医科の入院の1件当たり点数と1日当たり点数は下表のとおり。1件当たり点数は前年比2.0%増で、1日当たり点数は7.6%増。1件当たり日数は▲0.86日となった。
 診療行為別にみると、1件当たり点数の「検査」はプラス51.7%と大幅に増加している。厚労省の担当者によると、医療保険での新型コロナ感染症検査が広く行われたことの影響とみられる。
 「手術」は、2020年の統計では対前年比▲7.4%となっていたが、今回の2021年のレセプトでは13.8%増と増加に転じた。「麻酔」も2020年は▲8.5%だったが、2021年は14.9%増と大きく伸びている。
【医科・入院外】
 医科の入院外の1件当たり点数と1日当たり点数をみると、1件当たり点数は0.7%増、1日当たり点数は0.9%増。1件当たり日数はわずかに減少している。
 1件当たり点数を診療行為別にみると、「初再診料」が7.7%増、「医学管理等」12.2%増。「検査」は13.9%増と大きく伸びており、これも新型コロナ検査が広く行われたことの影響とみられる。他方、「投薬」は▲11.7%となっている。
【DPC】
 医科の入院をDPCレセプトとDPC以外のレセプトに分けてみると、DPCレセプトの1 件当たり点数は6 万7,190.9点(0.8%増)、DPC以外のレセプトでは5万830.6点(1.9%増)と、いずれも増加している。
 1日当たり点数は、DPCレセプトは6,640.7点(6.4%増)で、DPC以外のレセプトは2,503.3点(5.2%増)と伸びた。1件当たり日数は、DPCレセプトは10.12日で▲0.56%。DPC以外のレセプトは20.31日で▲0.65%と若干減少している。
 DPCレセプトについては、1件当たり点数のうち「検査」が134.1%の大幅な増加となった。
【薬局調剤】
 薬局調剤のレセプトの1件当たり点数は1,099.5点(▲6.8%)で、受付1回当たりの点数は928.9点(▲6.8%)といずれも減少した。1件当たり受付回数は1.18回で横ばい。
【後発医薬品】
 薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合は、総数では19.5%で前年比1.5ポイント増、入院は14.4%で▲0.1ポイント、院内処方は16.8%で0.8ポイント増、院外処方は20.1%で1.6ポイント増。入院での後発医薬品の割合がわずかに低下した。
 また、薬剤種類数に占める後発医薬品の種類数の割合は、総数は77.8%で2.2ポイントの増加、入院は74.3%で1.8ポイント増、院内処方は67.0%で1.5ポイント増、院外処方は80.4%で2.2ポイント増と、全体的に増加している。

 

全日病ニュース2022年7月15日号 HTML版

 

 

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