全日病ニュース

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2014年度改定の総括的要望をまとめる

▲猪口委員長(左から2人目)は宇都宮課長(右から2人目)に改定要望書を提出した。

2014年度改定の総括的要望をまとめる

【日本病院団体協議会】
入院基本料の考え方の変更を提起。看護基準の病院・病棟単位選択式も提案

 日本病院団体協議会(日病協)は「2014年度診療報酬改定に対する要望事項」を作成、8月9日、診療報酬実務者会議の猪口雄二委員長(全日病副会長)と武久洋三日病協議長(日慢協会長)が厚労省保険局の宇都宮医療課長に提出した。
 要望書は診療報酬実務者会議がまとめたもので、7月26日に代表者会議で承認された。14年度改定に対する総括的要望としては第1弾となる。

■日病協「2014年度診療報酬改定に対する要望事項」(要旨)

(基本的要望事項)
1. 診療報酬体系・施設基準体系の簡素化
 現行の診療報酬体系、施設基準体系は極めて複雑であり、誤解や誤算定を起こしやすい。大幅な簡素化を図り、柔軟な運用を可能とする制度に変更することを要望する。
2. 入院基本料の基本的な考え方の変更
 現行の入院基本料は、看護配置職員数により格差が付く体系となっており、看護職員の夜勤配置数や平均夜勤時間上限も定められている。しかし、入院患者の状態は医療機関や病棟で異なり、一定ではない。また、一方でチーム医療が求められている。
 今後は、看護職員数のみではなく、多職種による業務が評価されることを要望する。具体的には次のような方法が考えられる。
 ・各医療機関の責任において、担当医師、夜勤も含む看護職員・看護補助者、医師事務作業補助者等の人員配置および薬剤師、MSW、精神保健福祉士、リハビリスタッフ、管理栄養士、臨床工学士等医療職の院内配置数を定める。
 ・一定の基準を設け、配置内容により入院基本料を5 段階程度に分類する。
 ・各々の医療機関の提供する医療の内容と診療データの報告を義務化する。
 このような方法で診療内容と人員配置がデータ化されるので、一定期間での内容の見直し(PDCA)が可能となる。
(具体的要望事項)
1. 看護基準運用の変更
 看護職員数により入院基本料が決定される体系は変更されるべきであるが、仮に存続する場合、①一般病棟全体で同一の看護基準とし、傾斜配置を認める方式(現行の方式)、②病棟毎に看護基準を選べる方式の2つから、地域に応じた医療提供が可能となるよう医療機関が選択できるものとすることを要望する。
2. 医療情報の標準化と診療報酬上の評価
 今後の医療情報システムの整備と標準化を促進するため、医療情報標準化指針で示された規格に含まれた、厚生労働省標準規格に適合した電子カルテ等の医療情報システムを使用し、標準化されたデータを取り扱う場合、十分な評価が行われることを要望する。
3. 入院患者の他医療機関受診時の減算廃止と受診医療機関での保険請求可能化
 他医療機関受診時の一般病棟入院基本料減算(30%)や特定入院料減算(70%)は、懲罰的であり、このような減算方式の撤廃を要望する。また、受診他医療機関での保険請求が不可能なことで手続きが非常に煩雑になり、包括病棟では保険請求すら出来ず全額持ち出しとなっている。受診他医療機関での保険請求が可能となるよう要望する。
4. 医師事務作業補助体制加算の算定範囲拡大
 医師の事務作業が多いのは全医療機関の問題である。さらなる評価とともに、特定機能病院、療養病床、精神病床、結核病床、感染症病床等でも算定が可能となる事を要望する。
5. 救急搬送医学管理料の再評価
 救急対応を必要とする患者は昼夜を問わず搬送されてくるため、それに応じた人員配置が必要となる。同管理料が終日算定可能となるよう再評価することを要望する。
6. 包括支払病棟における算定可能な除外項目の整理
 包括支払病棟における算定可能な除外項目は整合性に欠けている(特に精神科特定入院料)。基本的な考え方の整合性を図り、内容を見直すことを要望する。
7. 外来リハ診療料の算定期間の延長と要件緩和
 外来リハ診療料は7日もしくは14日が算定限度であり、算定要件も厳しいため、実質的に算定困難である。
 算定期間の延長(28日~42日程度)と算定要件の緩和を要望する。
8. 維持的リハビリテーション算定の維持
 1月13単位まで認められている維持的リハの算定は次回改定までとされているが、介護保険下の通所リハは質的・量的に整備不十分であり、引き続き可能とすることを要望する。
9.「専従」の解釈について
 診療報酬上「専従」の要件は明らかとはされていないが、実態として他の業務を行うことは認められない。
 しかし、機関業務の多様性や効率性から考えて柔軟な対応を要望する。