全日病ニュース

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地域医療構想推進へ、勧告に従わない病院や改革が進まない地域の報酬調整を求める

 【財務省が建議】

地域医療構想推進へ、勧告に従わない病院や改革が進まない地域の報酬調整を求める

Ⅱ. 各歳出分野における歳出改革の方針と具体的取組

【社会保障】
・改革の時間軸は2020年度が鍵となる。「団塊の世代」が75歳の仲間入りを始める2020年代初頭までに、制度改革を実施に移す必要がある。2020年度に向けて、今後5年間の社会保障関係費の伸びを「高齢化による伸び」(年0.5兆円弱)の範囲内とする。
※今後5年間の社会保障関係費の伸びは、消費税増収分を活用した社会保障の充実等とあわせると+3.5兆円後半~4兆円程度(年平均2%以上)となる。
□医療・介護
◎公的保険給付範囲の見直し
・後発医薬品使用割合目標を17年度内80%へと引上げるべき、18年度から後発医薬品がある先発医薬品の保険給付額を後発医薬品価格までとする制度へ移行する必要。
・市販品類似薬の公的保険からの除外、受診時定額負担
・免責制の導入
・次期介護保険制度改革における軽度者に対する介護保険給付の見直し(生活援助サービス及び福祉用具貸与等の原則自己負担化、通所介護等の地域支援事業への移行等)・在宅療養との公平確保等(入院患者の居室代負担の見直し等)
◎サービス単価の抑制
・薬価調査に基づく薬価のマイナス改定分は診療報酬本体の財源としない。薬価調査・薬価改定のあり方を見直す必要
・診療報酬本体と介護報酬のマイナス改定、調剤報酬の適正化
◎負担能力に応じた公平な負担
・高額療養費制度の見直し、75歳以上の医療費定率負担の原則2割負担化、介護保険制度の2割負担対象者の対象拡大及び月額上限の見直し、金融ストックも勘案した負担能力判定の仕組みの導入
・前期高齢者医療費納付金と介護納付金の総報酬割への移行等
◎医療の効率化等
・「地域医療構想」が確実に実施されるよう、次期改定における対応を含め、2020年までに極力前倒しで実施される枠組みを構築すべきである。
①具体的には、まず、16 年度から、「地域医療構想」と整合的な診療報酬体系を構築する必要がある。その際、病床機能の算定要件の厳格化を含め、「地域医療構想」に基づく病床の機能分化を実現する医師等の配置基準・診療報酬体系とする必要がある。
 療養病床については、医療区分2・3の算定要件の厳格化を行う他、医師等の配置基準と報酬水準を老人保健施設などと整合的なものにしていく必要がある。
 さらに、「地域医療構想」の実施に際して都道府県の勧告等に従わない病院の報酬単価の減額等の措置を講じる必要がある。
②基金や国保の財政支援のメリハリある配分を行ない、「地域医療構想」の策定や「医療費適正化計画」の改訂を迅速に行い、不合理な地域差解消に取り組む都道府県に対する重点的な支援を行なう必要がある。
③16年度から、地域差の解消等に向けた改革が進まない地域において報酬単価の調整を現行制度に基づいて行なえるよう、運用基準の明確化を行う必要がある。
④16年度から、民間医療機関に対する他施設への転換命令を含め、病床の機能分化・地域差の解消に向けた都道府県の権限の更なる強化を行う必要がある。
⑤また、レセプトデータに基づく地域差の詳細分析を行ない、それを公開するとともに、国が標準的な外来医療費の算定式を速やかに示した上で、16年度から、各都道府県が策定する医療費適正化改革の中で不合理な地域差が解消されるようにしていく必要がある。