全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2015年)第851/2015年7月15日号全日病「重症度、医療・看護必要度」...

全日病「重症度、医療・看護必要度」の見直しを要望

全日病「重症度、医療・看護必要度」の見直しを要望

 全日病は会員病院を対象に実施した「重症度、医療・看護必要度に関するアンケート調査」の結果をまとめ、7月3日に厚労省の宮嵜医療課長に提出するとともに、2016年度改定における「重症度、医療・看護必要度」の見直しに際し、(1)数項目の有り無しで判断するのではなく、例えばDPCデータを利用するなど、多数の項目から医療的に手のかかる状態を判断すること、(2)せん妄やBPSDに代表される治療の受け入れ困難な状態を十分加味すること、(3)それぞれの病棟・病床の目的に適合する項目を抽出することの3点を考慮するよう要望した。日病協と四病協の改定要望書とともに提出した(1面記事を参照)。

全日病「重症度、医療・看護必要度に関する調査」の結果から

 医療現場における「手のかかり具合」という観点から、現状の「重症度、医療・看護必要度」をどう評価しているか、また、現行項目以外の手のかかると想定される項目としてどういう状態像があるかについて1月から2月にかけて、会員病院(療養病床のみ・精神病床のみを除く1830病院)に調査を行なった結果、664病院(36.3%)より回答を得た。
【まとめ】
 調査の結果から、現行「重症度、医療・看護必要度」の各項目は、医療現場で十分受け入れられていることが分かった。回復期リハでは、その他の急性期病棟と若干異なる評価となったが、これは、本来の病棟機能が異なるので当然であろう。また、地域包括ケア病棟は、急性期と回復期の中間に位置するような結果であった。
 このことは、現行の「重症度、医療・看護必要度」は診療報酬算定上受け入れなければならないが、実際には、他に手のかかる状態像が数多く存在していることを示している。
 特に、せん妄やBPSDは、ICU等の急性期ユニットから回復期リハ、地域包括ケアにいたるまで、もっとも手のかかる状態のひとつであることが示された。以上より、「重症度、医療・看護必要度」の見直しに際して、以下の3点を考慮するよう要望する。
(1)数項目の有り無しで判断するのではなく、多数の項目から医療的に手のかかる状態を判断する(例えばDPCデータの利用)。
(2)せん妄やBPSDに代表される、治療の受け入れ困難な状態を十分加味する。
(3)それぞれの病棟、病床の目的に適合する項目を抽出する。
 病院医療の現場において、「重症度、医療・看護必要度」に適合する入院患者を選択するような診療行為は、断じて避けなくてはならない。入院医療の必要性に応じて診療行為が行われ、結果として医療の質の向上に貢献できる「重症度、医療・看護必要度」の制度設計が求められる。