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ホーム全日病ニュース(2020年)第962回/2020年5月1日号中医協会長に小塩隆士・一橋大教授が就任

中医協会長に小塩隆士・一橋大教授が就任

中医協会長に小塩隆士・一橋大教授が就任

【中医協総会】当面の課題は薬価調査の実施方法

 中医協総会は4月8日、7日付けで退任した田辺国昭会長の後任に、公益委員の小塩隆士氏(一橋大学経済研究所教授)を会長に選出した。小塩委員は挨拶で、「新型コロナウイルスの感染拡大により、日本の医療は緊急事態にある。中医協としても地域医療を守るため、迅速・的確に対応して、危機克服に貢献したい」と述べた。
 また、退任に際し、田辺会長は任期中の中医協の審議を振り返り、3点を指摘した。1点目は、妊婦加算の凍結・廃止に触れ、「医療機関など供給側だけでなく、患者など需要側の行動を考える必要がある」と述べた。2点目は、オプジーボなど高額薬剤の保険収載が保険財政全体に与える影響を懸念した。3点目に総論として、「医療保険制度を守るため、絶えず制度を見直していくことが大事だ。しかし、急激な変化はリスクが大きい。慎重さと迅速さのバランスが求められる」と述べた。
 また、公益委員には、永瀬伸子委員(お茶の水女子大学教授)が加わった。日本経団連の委員は、宮近清文委員から眞田享委員に替わった。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中医協は同日、オンライン方式で総会を開催した。当面、新型コロナウイルスへの対応が必要であることから、中医協を特例的に、持ち回りで開催することを認めることを了承した。
 一方、薬価制度抜本改革によって、2年に一度の薬価改定の中間年にも全品目の薬価調査を実施し、価格乖離の大きな品目について、薬価改定を行うことになっている。9~ 12月に薬価調査を実施するには、6月には実施準備に入らなければならない。このため、薬価調査の実施方法を薬価専門部会で早急に議論していくことが必要になる。
 支払側の委員は、薬価改定の議論は持ち回り開催にはせずに、オンライン方式など議論の場を設定することを求めた。診療側委員からは、薬価調査を実施する上でも平時の状況ではないなど、現場への負担も考慮し、2021年度の薬価改定は行わない選択肢を含めて考えるべきと主張する意見が出た。

 

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