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ホーム全日病ニュース(2021年)第998回/2021年11月15日号新型コロナ対応の今後の課題で事例発表

新型コロナ対応の今後の課題で事例発表

新型コロナ対応の今後の課題で事例発表

【厚労省・医療計画検討会】看護協会、赤十字社、福井県、大阪府からの報告

 厚生労働省の第8次医療計画等に関する検討会(遠藤久夫座長)は11月5日、前回に引続き新型コロナ対応の事例発表を受けた。◇日本看護協会◇日本赤十字社◇福井県◇大阪府が発表した。
 日本看護協会の鎌田久美子常任理事は、医療機関の役割に応じた感染拡大時を想定した平時からの手厚い看護職員の配置の必要性を強調した。特に、「人工呼吸器を装着した患者のケアができる看護職の育成」や「特定入院料を算定する集中治療室への看護補助者の配置」、「マネジメントを行う人材の育成」をあげた。人材確保のため、都道府県ナースセンターに対する大幅な財政支援も求めた。
 日本赤十字社の田淵典之医療事業推進本部副本部長は、新型コロナ対応の職員の派遣は2020年2月のクルーズ船への救護班派遣から始まり、延べ人数で17,984人になると報告。うち72%がワクチン接種での派遣が占める。職種別では、医師等が33%、看護師・助産師が50%となっている。
 今後の課題としては、全体的な体制強化として、◇感染症に対応できる医療機関の拡充◇地域の病院間での役割分担と連携の充実◇看護師の量的確保のための人材バンク設立や潜在看護師の活用◇派遣・情報の一元化、医療情報システムなど操作系の標準化─をあげた。
 福井県健康福祉部地域医療課等は、これまでの対応を振り返った上での課題として、原則、すべての患者を入院の方針としていたが、病床使用率が50%前後になると、一時的に自宅待機となる患者が発生し、保健所による自宅待機者の健康観察業務の負担が増加したと報告した。
 これを踏まえ、今後は自宅療養が生じないよう、入院医療機関・宿泊療養施設での受入体制を強化することを基本に対策を講じるとした。病床ひっ迫などにより、自宅療養を行わざるを得ない場合は、メディカルチェックにより重症化リスクが低いと判断された患者を対象にすると説明した。
 大阪府の藤井睦子健康医療部長は、第六波に向けた医療・療養体制の強化方針として、3点をあげた。
 1点目は初期治療体制の強化で、自宅療養者と宿泊療養者に対して、抗体治療実施体制の整備や診療型宿泊療養施設の拡充などを図る。2点目は圏域ごとのネットワーク体制の強化で、医療機能の過不足の検証などを行う。3点目は、ひっ迫時に備えた保健所連絡前の医療へのアクセス確保で、自宅待機者等24時間緊急サポートセンターの運営などを実施する。
 また、現行法での病床確保などの要請には限界があり、「非常事態においては、一定の強制力を持ち、病床や医療従事者を確保するための法整備が必要」とも指摘。これについて藤井健康医療部長は、一般医療との両立を含め、地域の医療機関の理解と納得が不可欠であることも強調した。

 

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