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ホーム全日病ニュース(2023年)第1032回/2023年5月15日号次期改定に向けた入院医療の本格的な議論始まる

次期改定に向けた入院医療の本格的な議論始まる

次期改定に向けた入院医療の本格的な議論始まる

【中医協・入院・外来医療等の調査・評価分科会】DPC/PDPSの2022年度特別調査の結果も報告される

 中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は4月24日、2024年度診療報酬改定に向け、本格的な議論を開始した。同日は、今後の検討事項やスケジュールを確認。入院・外来医療等の2023年度調査項目案を了承したほか、DPC/PDPSに関して、2022年度特別調査の結果や現況が報告された。

夏までに入院の各項目を議論
 今後のスケジュールをみると、5月以降、「診療情報・指標等作業グループ」や「DPC/PDPS等作業グループ」における検討が始まり、夏にかけて、分科会での個別事項に関する議論としては、◇一般病棟入院基本料◇特定入院料(治療室、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料等)◇療養病棟入院基本料─がテーマとなる。
 その間に、2022年度調査結果の速報の報告がある。速報は、診療報酬基本問題小委員会に報告される。夏までの分科会での議論も、基本小委に報告され、議論される。
 秋までに、2023年度調査結果の速報も出される予定だ。秋以降は、個別事項に関する議論をさらに深め、議論の結果が基本小委に報告される。
 なお、外来医療等に関する議論のスケジュールは示されていない。
 また、DPC/PDPSについては、同日報告された2022年度特別調査の結果も踏まえ、2023年度調査の実施に向けた調査設計を行うことになった。

2023年度調査の項目案を了承
 2023年度調査項目は、昨年10月の分科会で示された当初案よりも、項目数が増え、8項目となった。
 具体的には、①一般病棟入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」の施設基準等の見直しの影響(その2)②特定集中治療室管理料等の集中治療を行う入院料の見直しの影響(その2)③地域包括ケア病棟入院料及び回復期リハビリテーション病棟入院料の実績要件等の見直しの影響(その2)④療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その2)⑤新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築に向けた評価等(その2)⑥医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等(その2)⑦外来医療に係る評価等(その2)⑧医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態─となっている。
 このうち、⑤の新興感染症等関連と⑦の外来医療関連については、約千人を対象に一般人へのWEB調査を実施する。全日病常任理事の津留英智委員は、「WEB調査の対象者はどのように選択されるのか。また、年齢区分に、10歳未満や80歳以上も含まれている。WEB調査の性格上、特定の年齢の回答数が制限されるのではないか。その中にある、かかりつけ医に関する質問についても、十分な回答が得られるのか懸念がある」と質問した。
 厚生労働省の担当者は、「一般人が対象であるので、特定の医療機関の患者に結びつかない形で実施される。適切な年齢分布の回答が得られるよう、調査会社と調整するが、確かに、10歳未満、80歳以上の回答を十分に得るのは難しいかもしれないので、もう少し丁寧に検討する」と回答した。

DPC/PDPSの2022年度特別調査
 DPC/PDPS の2022年度特別調査の結果が報告された。調査では、DPC/PDPSになじまない可能性のある病院を含めたDPC対象病院の実態を把握するため、医療機関が担うべき役割や機能に対するインセンティブを評価している機能評価係数Ⅱに着目した調査も行っている。
 調査対象は、DPC標準病院群に該当する病院(1,495施設)のほか、各係数の上位50病院・下位50病院等に該当する病院などへの追加調査、機能評価係数Ⅱの取得状況に着目し、10施設程度を選定したヒアリング調査も行った。
 DPC標準病院群への調査では、以下のような結果が示された。
◇2022年8月~ 2022年10月のDPC算定病床の病床利用率は、最小値15.1%、最大値 100.0%
◇診療情報管理部門に、診療情報管理士が未配置は160 病院(10.7%)
◇DPCコーディング(14 桁分類)の入力は、診療報酬請求部門が担う病院が750 病院(50.2%)と最も多く、主治医が担う病院は 536病院(35.9%)
◇DPC算定病床の診療に携わる医師数(常勤)は最少2人、最多 261 人
 機能評価係数Ⅱの取得状況に着目した調査結果では、保険診療係数が最大値になっていない67病院に対して、部位不明・詳細不明コードが生じる理由などをきいている。また、効率性係数、複雑性係数、救急医療係数、地域医療係数のそれぞれについて、上位50病院・下位50病院等に、係数が高い・係数が低いことの背景をきいている。
 旭川赤十字病院院長の牧野憲一委員は、「DPC/PDPSになじまないDPC対象病院があると理解している。特に、DPC算定病床が少ない病院の『外れ値』が全体のデータを歪めてしまうことがあり得る」と指摘し、指標の設定の見直しが必要との認識を示した。
 全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は、「特別調査において、DPCの病棟と地ケアの病棟との関係について、特にDPC病床数が極端に少ない病院について、何か知見や所見が得られたのか」を聞いた。厚労省担当者は、「地ケアやDPC、両方持っているケアミックスの実態は、2022年度の入院調査においても定量的に調べているので、検討できるデータを今後取りまとめたい」と回答した。
 一方、地域医療機能推進機構理事長の山本修一委員は、「DPC/PDPSに入れる・入れないという議論に偏らずに、実態としての病院の状況はさまざまであるということを踏まえ、丁寧な議論を行っていくべき」と述べた。
 また、DPC対象病院の合併が、2022年度中に3件あり、DPC対象病院は2023年4月1日時点で、1,761病院となった。

 

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