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ホーム全日病ニュース(2024年)第1049回/2024年2月15日号サブスペシャルティ領域の専門医の広告の考え方を整理

サブスペシャルティ領域の専門医の広告の考え方を整理

サブスペシャルティ領域の専門医の広告の考え方を整理

【厚労省・医療機能情報等分科会】機構認定と重なる16学会16専門医を広告できる経過措置は終了

 厚生労働省の「医療機能情報提供制度・医療広告等に関する分科会」(尾形裕也分科会長)は1月29日、専門医に関する広告について、国民へのわかりやすさ・一定の質が担保されていると認められる場合は、基本的にはサブスペシャルティ領域の専門医の広告を認めることの考え方を整理した。
 ただ、サブスペシャルティ領域の専門医広告のあり方は、国民・患者への情報提供だけでなく、新たな専門医制度全般にも影響を及ぼし得る。このため、これまでの専門医のあり方に関する議論と整合的なものとし、「地域医療提供体制」、「医学の学問」、「医師のキャリア形成」の観点も留意する。
 これらを踏まえ、日本専門医機構(以下、機構)が認定しないサブスペシャルティ領域の広告については、「新たな基準」を定め、それを満たす場合は、学会認定専門医についても、基本的には広告を認めることとする。「新たな基準」は、すでに広告可能となっている機構の基本診療領域(19領域)の専門医制度の認定基準などの考え方をベースとする。
 一方、機構認定のサブスペシャルティ領域の専門医については、基本診療領域との「連動研修」がある15のサブスペシャルティ領域であれば、基本的には広告可能とする。ただし、現時点でこれらの領域の認定・更新基準等が確定していないことから、機構での十分な整理を経て、同分科会で議論し、個別に認める。
 その他のサブスペシャルティ領域は、学会認定専門医と同様、「新たな判断基準」に該当する場合に、広告できることを認める。
 また、学会認定専門医のうち、基本診療領域と同一の専門性がある学会認定専門医については、基本的には広告を認めないこととする。
 現在は経過措置により、学会認定の専門医(59学会56専門医)が広告可能となっているが、このうち、基本診療領域においては、同一名称同一内容の機構認定専門医と学会認定専門医が併存する状況となっている。学会認定専門医から機構認定専門医への移行を促す観点も含め、16学会16専門医の基本診療領域に対応する学会認定専門医については、経過措置を終了する。
 これらの論点の方向性に対し、分科会として概ね合意した。
 ただ、日本医療法人協会副会長の小森直之構成員は、学会認定専門医が機構認定専門医に移行し、学会認定専門医の広告が不可となった場合に、機構認定専門医への更新が難しい高齢医師が在籍する中小病院にとって、病院情報を広告する上で影響が大きいことへの配慮を求めた。
 また、「国民にとってわかりやすく選択しやすい専門医の広告を推進することは、かかりつけ医ではなく、直接専門医を受診する方向に進むのではないか」と述べ、かかりつけ医機能の制度整備の議論との整合性を求めた。

GLP-1ダイエットの問題に対応
 最近、GLP-1ダイエットなど痩身目的のオンライン診療で、処方薬や副作用の説明などが不十分な事例による消費者トラブルが生じている。GLP-1ダイエットとは、2型糖尿病治療薬等として承認されているGLP-1受容体作動薬を適用外で美容・痩身・ダイエット目的で使用すること。医療広告のネットパトロール事業でも、GLP-1関係の通報件数が増えている。
 このため、未承認医薬品等を用いた自由診療に関して、入手経路等を示すなどガイドラインのQ&Aに明記している注意事項に、「未承認医薬品等は医薬品副作用被害救済制度等の救済の対象にはならない」を追加したうえで、ガイドラインに格上げすることを了承した。あわせて、「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」の改正で明記する。
 ただ、この対応だけで不適切な処方が防止できるかということでは、構成員からさらなる厳格な対応が必要との意見が相次いだ。ネットパトロール事業の強化も求められた。

 

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