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ホーム全日病ニュース(2024年)第1049回/2024年2月15日号織田副会長が全日病の考えるかかりつけ医機能について発表

織田副会長が全日病の考えるかかりつけ医機能について発表

織田副会長が全日病の考えるかかりつけ医機能について発表

【厚労省・かかりつけ医機能分科会】総合医育成事業についても報告

 厚生労働省のかかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会(永井良三分科会長)は1月24日、構成員へのヒアリングを行った。全日病副会長の織田正道構成員が、全日病が考える「かかりつけ医機能」と総合医育成事業についてプレゼンテーションを行った。
 織田構成員は、かかりつけ医機能について、休日・夜間の対応、急変時の入院対応といった2次救急機能や在宅医療の提供とその支援機能、介護施設との連携機能が求められることから、「いかに地域で完結する医療を提供するかが重要であり、地域包括ケアシステムでは在宅医療チームと入院医療チームとの協働が極めて重要である」との認識を示した。
 その上で、在宅療養高齢者の受け皿としての入院機能を有する「かかりつけ医機能支援病院・病棟」の創設と、入院医療・在宅医療・介護の多職種チームが連携して機能を有する円滑な入退院システムの構築の必要性を強調。「その際に地域医療を担うかかりつけ医機能支援病院として、民間中小病院の役割が重要であり、全日病として積極的な参加を促したい」と述べた。
 かかりつけ医機能支援病院については、「面でのかかりつけ医機能をバックアップすることを想定しており、機能強化型在宅療養支援病院と同列の位置づけ。紹介受診重点医療機関とも重複する部分もあるだろうが、地域でオープンに議論することで、それぞれの病院のかかりつけ医機能が高まると考える」との見解を示した。
 また、「高齢者医療は急性期であっても患者の生活を考慮した全人的な医療が求められることから、病院総合医の育成も重要である」とした上で、全日病が日本プライマリ・ケア連合学会と共同で行う総合医育成事業について説明した。総合医育成プログラムは臓器別にとらわれない幅広い医師像を目標に、総合医療の実践を行うとともに、組織の運営に積極的に関与できるマネジメント能力を養成するものであり、2018年から2023年度で315名が研修に参加していると報告した。
 織田構成員は、「幅広い診療が身につくための研修であるとともに、組織人として、チームのリーダーとして、タスクマネジメントするスキルを体系的に身につけることを進めている」と述べた。
 そのほか、日本医師会の釜萢敏構成員、日本プライマリ・ケア連合学会の大橋博樹構成員、健保連の河本滋史構成員、全国衛生部長会の家保英隆構成員、稲城市副市長の石田光広構成員がプレゼンテーションを行った。
 釜萢構成員は、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の方向性について、「かかりつけ医機能は医師1人や1医療機関がすべてを担うのではなく、複数の医師や複数の医療機関が地域を面で支えるものをめざすべき」との認識を示した。新たな制度の検討にあたっては、「現在すでに地域ごとに動いている医療提供体制を壊すような制度設計はすべきでない」と強調した。
 大橋構成員は、織田構成員の発表に賛同した上で、「かかりつけ医機能支援診療所」の創設を提案。「かかりつけ医機能支援病院・診療所が機能することで、地域でより積極的にかかりつけ医機能を担う医療機関が増えることが期待される」と述べ、機能分化・連携を進めるべきとの考えを示した。また、「他の専門領域からプライマリ・ケアへ転向するニーズにも応えることが重要」として、総合医育成プログラムのさらなる活用を強調した。

 

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