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ホーム全日病ニュース(2024年)第1051回/2024年3月15日号診療報酬改定の告示・通知にあわせ改定内容を説明

診療報酬改定の告示・通知にあわせ改定内容を説明

診療報酬改定の告示・通知にあわせ改定内容を説明

【厚労省】動画と説明資料を厚労省ホームページに掲載

 厚生労働省は3月5日、2024年度診療報酬改定の告示・通知の発出とあわせて、改定説明資料等を厚労省ホームページで公開した。説明動画も掲載し、厚労省保険局の眞鍋馨医療課長らが改定内容に関する説明を行っている。賃上げに関する動画も配信した。
 眞鍋課長が2024年度改定の全体像を説明。診療報酬改定は、社会保障審議会の医療保険部会・医療部会が決定する基本方針に沿って、個別改定項目を中央社会保険医療協議会が議論し、厚生労働大臣に答申する手続きで進む。2024年度改定の基本方針における4つの基本的視点のうち、重点課題は、「現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進」であった。
 昨年12月20日の大臣折衝で、改定率が決まった。診療報酬本体はプラス0.88%。このうち、看護職員等の医療関係職種の賃上げにプラス0.61%、40歳未満の勤務医師等の賃上げにプラス0.28%程度を活用し、生活習慣病の管理料等の効率化・適正化でマイナス0.25%にするという大枠も定められた。
 これらを踏まえた2024年度改定の主要項目として、9項目を掲げた。それぞれ、①賃上げ・基本料等の引上げ②医療DXの推進③ポストコロナにおける感染症対策の推進④同時報酬改定における対応⑤外来医療の機能分化・強化等⑥医療機能に応じた入院医療の評価⑦質の高い訪問診療・訪問看護の確保⑧重点的な分野における対応⑨個別改定項目/医療資源の少ない地域への対応─となっている。
 入院医療においては、後期高齢者の救急搬送の増加など入院患者の変化を踏まえ、機能分化・強化を促進し、効果的・効率的な提供体制を整備するとともに、軽症・中等症の高齢者の急性疾患のニーズ増大に対して、「地域包括医療病棟」を新設したことを説明した。
 具体的には、一般病棟の急性期一般入院料1の「重症度、医療・看護必要度」を見直し、平均在院日数を「18日以内」から「16日以内」に短縮したことなどをあげている。軽症・中等症の救急搬送などの場合、急性期一般入院料1を届け出ている病院から、「地域包括医療病棟」や「地域包括ケア病棟」がある病院へのいわゆる下り搬送を促すため、「救急患者連携搬送料」を新設したことを示した。
 回復期リハビリテーション病棟入院料の見直しについては、◇FIMの測定等の要件見直し◇体制強化加算の廃止◇運動器リハビリテーション料算定上限数見直し─をあげた。療養病棟入院基本料の見直しについては、◇医療区分の見直し◇中心静脈栄養の評価見直し◇リハビリテーションの評価見直し◇経過措置病棟の廃止─をあげた。
 「ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進」ということでは、コロナ禍の経験を踏まえ、介護保険施設等と地域包括ケア病棟を持つ医療機関や在宅支援診療所・病院の平時および急変時における対応の強化に関する評価の見直しを指摘している。
 人生の最終段階における医療・ケアを充実させながら、介護保険施設等に協力医療機関の医師などが往診することや、入院が必要な場合は受け入れることを推進する見直しが行われていることを示した。その際に、マイナ保険証やICTを用いた情報連携が重要とし、新たな評価も設けられた。
 このような主要事項とあわせ、厚労省ホームページでは個別改定事項に関する詳細な資料を掲載している。
 また、2024年度診療報酬改定は、診療報酬改定DXの一環で、薬価改定を除き施行時期が4月から6月に後ろ倒しとなる。届出期間は5月2日~6月3日であること、経過措置の多くは9月末までであることも伝えられた。

薬価基準改定の告示も示される
 3月5日には、薬価基準改定の告示等も行われている。2024年度薬価改定の改定率は医療費ベースでマイナス0.97%(薬剤費ベースでマイナス4.67%)。このうち、実勢価等改定分は、医療費ベースでマイナス0.83%(薬剤費ベースでマイナス4.00%)となっている。改定率を踏まえ、薬価基準に基づき、医薬品の薬価改定が行われる。
 薬価基準における収載医薬品(告示数)は1万2,917種類。内訳は、内用薬が7,264種類、注射薬が3,567種類、外用薬が2,060種類、歯科用薬剤が26種類となっている。
 革新的な新薬の創出を加速させることを目的に、市場実勢価格に基づく薬価の引下げを猶予する制度である「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(以下、新創加算)については、今回改定で、ベンチャー企業やスタートアップ企業に不利になっている仕組みを見直すとともに、小児に対し効能・効果がある医薬品を評価する形で品目要件を変更した。一方、加算額を算出する際に、実勢価格の薬価との乖離が全品目の平均乖離率を超える品目の場合は、加算を適用しないことになった。
 その結果、新創加算の対象となり、薬価が維持された医薬品は506種類、新創加算の対象だが乖離率の条件により薬価が維持されなかった医薬品は78種類、新創加算の対象だが市場拡大再算定等の対象となり薬価が下がった医薬品は39種類で、新創加算の対象医薬品は623種類となっている。
 不採算品再算定については、今回改定により、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、企業から希望のあった医薬品を対象に特例的に適用することになった。
 その結果、不採算品のため、薬価の引上げまたは薬価の維持を行った医薬品は、対象成分数で699成分、告示数で1,911種類となっている。なお、今回の対応は、成分規格が同一である類似薬のすべてが不採算品再算定の対象になるわけではない。

 

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    2023/10/01 ... コロナ禍の影響がさまざまな形で出て. いる。一方、2022年度改定における ... 薬価改定の影響を医療費に対する率へ換算したもの。 (参考) 主傷病がCOVID ...

  • [2] 2022 年度 病院経営定期調査 -集計結果(概要)-

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    2022/12/02 ... ただし、コロナ禍の影響が大きく真の病院経営の実態が分かり難い結果と ... FIM総得点55点以下)[2022年1月~6月で算出した割合]. (図 17)紹介受診 ...

  • [3] 2021.10.1 No.995

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