全日病ニュース

社会医療法人博愛会開西病院の初回訪問支援を終えて

【2023年度病院機能評価受審支援事業②】病院機能評価委員会　受審支援アドバイザー　中嶋照夫

　2023年11月30日（木）、午前６時半、初冬を迎えた早朝の冷気の中自宅出発。そして羽田10時45分発のJAL機にて、とかち帯広空港に向かった。１時間半ほどの空路を経て、氷点下の気温で真冬の世界に降り立った。私の居住地では厳冬期ですら味わう事のない外気温であり、氷雪の景観が待ち構えていた。直ちに病院に向かい午後２時からの講演第一部の開幕にどうにか間に合うことができた。会場には既に事務職員をはじめとして複数の職種の方々20～30名ほどが参集されていた。
　第一部はパワーポイントを教材に、オリエンテーションとして「病院機能評価とは」と題して概念の解説を行った。機能評価は、「国民が安全で安心な医療が受けられるよう、病院組織全体の運営管理および提供される医療について評価し、組織横断的な質改善活動を支援するツール」であることが使命と目的であり、この主旨を解説するためさらに細かく参考事例を紹介しながら、機能評価とは「医療の機能を量って質を評価」する改善手法であることを説明した。
　また、2023年６月以降の審査から実施された3rdG. Ver.3.0では評価手法そのものが大きく改正されたが、当該病院が受審予定の「一般病院１」の種別ではカルテレビューが新たに加わることになったことを明らかにした。そこで、その審査手法にも言及し、カルテについては今から記述内容への対応が必須になることを伝えた。
　第一部では以上の事柄を60分かけて解説した。第一部終了時には、聴講者は倍増したようで50～60名の方々が参集されていたように見受けられた。今後、これらの方々が職場の核となり、受審準備を真剣に進めていかれるだろうと大いに力づけられた。10分間の休憩の後、第二部の講義を開始した。
　第二部は、事務部門を主体として効果的な受審準備活動の進め方を主題として第一部同様パワーポイントを教材として解説を行った。ここでは、第一に受審目的を明確にし、職員間で共有したうえで準備活動に入るべきであることを勧めた。
　現実には、全日病の病院機能評価委員会と共同して行った９月のキックオフ・ミーテイングから既に３か月が経過しており、この間足踏み状態だったことから、院内の機能評価受審に向けた機運を再度ブーストする必要があると推測された。その上で、受審準備活動の母体として病院組織横断的な機能評価委員会（あるいはプロジェクトチーム）を早急に組織して、委員会主導のもとに全病院的に受審準備活動を急ぎ展開すべきと申し上げた。
　そこで当該委員会では、今後の受審予定時期までの日程を立てたうえで、当院の現状を知るべく綿密に「自己評価」を行うことが重要である。そして、各評価項目の求めに対して不十分な事象を明らかにして、それらの課題の克服に取り組むことが第一段階の要諦であることを強調して第二部を終えた。
　第三部は、当初は院内の部署訪問も予定していたが、受審準備活動が緒に就いたばかりであることから院内の各部門を巡回することはやめ、パワーポイントを使用して事務領域の評価項目の解説を続けた。ここでは、Ver.3.0で改正されたポイントを含め、深く理解して取り組むべき項目を抽出して解説を行った。これらにより、機能評価項目の理解が進んだのではと思われる。貴院では、先ずは病院全体で受審準備活動に着手することが重要であり、そこから実質的な改善活動が実を結んで行くものと認識される。
　全日病・病院機能評価委員会の受審支援活動としては、すでに事務領域に関して施設基本票等における病院の基礎データ起票に関わる留意点を網羅した「施設基本票コメント」を、また、病院から事前に提示された自己評価書に対して事務関連の評価項目についてその求めや解釈等に関わるアドバイザーからの詳細コメントを送付・提示してあるので、それらをも参考にしながら速やかなる受審準備活動を開始されることが切に望まれる。
　歩き出すことは非常に重い行動かもしれないけれど、世に言う「案ずるより産むが易し」という格言に倣い、病院の皆さん全員一丸となって病院機能評価という改善活動に邁進されることを望みながら、事務担当の支援活動の４時間を終えた。