全日病ニュース

全日病ニュース

厚労省案 「共通科目」の履修に414時間。異論相次ぐ

厚労省案 「共通科目」の履修に414時間。異論相次ぐ

【看護師特定行為・研修部会】
「認定看護師等に実技の一部免除」にも疑問の声。事務局は次回に修正案

 包括的指示の下で手順書によって特定行為を実施できる看護師の研修制度について具体案をまとめつつある看護師特定行為・研修部会は、11月26日、事務局(厚労省医政局看護課)が提案した研修内容の具体案について議論した。
 研修の内容は、すでに骨組みの部分が事務局から示されている。今回、新たに提案されたのは、主に以下の部分だ。
(1)研修内容は、臨床病態生理学、臨床推論、フィジカルアセスメント、臨床薬理学、疾病・臨床病態概論、医療安全学、特定行為実践からなる「共通科目」と21の特定行為区分(研修の最小単位)からなる「区分別科目」とで構成される。
(2)そのうち、「共通科目」の履修に414時間を要する。「区分別科目」の教育時間は最少で15時間、最大で72時間となる。
(3)既に履修した学習内容は本制度における当該科目の履修の一部を免除することができる。
(4)特定行為の知識・技能をすでにもつ看護師は特定行為区分ごとに必要な知識・技能(区分別科目)の履修を一部免除することができる。
(5)研修修了者は、行為を実施する医療機関等で、当該行為を患者に実施する前に、当該行為に関する知識や手技の事前チェックを受ける。
 これらの事務局提案のうち、(2)および(3)(4)に対して、構成員から異論が相次いだ。
 (2)については時間数が多すぎて現実的ではないというのが大方の意見で、「半分ほどでいい」との声もあがった。
 構成員である神野正博全日病副会長は、eラーニングを利用して就業を続けながら研修を受ける看護師にかかる負担が大きすぎるとして、時間数の見直しを求めた。
 (3)に関して、事務局は「日本看護協会が認定する認定看護師教育機関による認定看護師教育課程」等を例示し、履修一部免除の対象者とした。
 (4)については「指定研修機関において当該行為に関する知識・技能を有していることを確認できた場合」という条件案を示した。
 この考え方にも疑問と反対意見が多く示され、桐野部会長(国立病院機構理事長)は、座学は免除可能としつつも、「実技の免除は裏ルートができる可能性がある」と指摘、事務局に検討を指示した。
 事務局は次回会合に修正案を提示する方針で、研修案の年内とりまとめを期している。
 また、特定行為の項目案として、10月23日の部会で継続検討とされた6項目に関しては、その後の議論で2項目を特定行為とすることで合意されたため、この日は、残り4項目の可否を検討した。
 しかし、全員一致となることがなく、「経口・経鼻気管挿管の実施」と「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」の2つは、引き続き次回の検討に回された。