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2017年に医療介護総合確保方針を改定。厚労省が方針

2017年に医療介護総合確保方針を改定。厚労省が方針

【医療介護総合確保促進会議】
15年度基金(医療)の56%が地域医療構想関係。14年度基金の執行率は46.3%

 10月28日に開かれた医療介護総合確保促進会議に、事務局(厚労省保険局医療介護連携政策課)は、15年度地域医療介護総合確保基金(医療分)2回目(基金規模292.9億円)の国費内示額を報告した。1回目は、7月に、基金規模総額903.7億円の2/3にあたる610.8億円が、介護分は5月に総額724.2億円に関する国費の交付が内示されている。
 2回目の内示は大阪府が基金規模28.8億円(うち国費は2/3の19.2億円)ともっとも多く、次いで、愛知県19.5億円(13.0億円)、東京都14.1億円(9.4億円)、福岡県14.0億円(9.3億円)、兵庫県12.8億円(8.5億円)、千葉県9.7億円(6.5億円)、栃木県9.2億円(6.2億円)、富山県9.2億円(6.2億円)、北海道8.8億円(5.9億円)、広島県8.6億円(5.7億円)という順であった。
 この結果、第1回内示と合わせた基金規模の上位10県は、東京都73.5億円、大阪府56.2億円、神奈川県39.4億円、福岡県36.0億円、千葉県32.5億円、愛知県32.3億円、埼玉県30.3億円、北海道33.2億円、静岡県28.8億円、徳島京都26.6億円となった。
 事務局は、また、14年度基金の執行状況を報告した。
 基金額は、(1)病床の機能分化・連携174億円(総額の19.2%)、(2)在宅医療の推進206億円(22.8%)、(3)医療従事者の確保524億円(58.0%)の計904億円。各都道府県が14年度から実施する事業の区分別割合は(3)が突出して多く、(1)は最少となった。
 (3)に約6割が配分された理由として、事務局は「これまでの地域医療再生基金で実施されていた事業(約300億円)を引き継いでいるため」と説明した。
 総額904億円のうち、14年度に実施するとされた事業は計画ベースで603億円(総額比66.8%)で、執行額は419億円(執行率69.5%)であったが、基金規模総額に対する執行率は46.3%にとどまった。
 執行額の区分別内訳は、前出(1)が計画ベースで95億円、執行額39億円(計画に対する執行率40.5%)、(2)は計画ベースで83億円、執行額46億円(55.3%)、(3)は計画ベースで425億円、執行額335億円(78.7%)という状況であった。
 (1)の「病床の機能分化・連携」に関する事業の執行率が40.5%にとどまったことについて、事務局は、「病床の機能分化・連携の施設整備に関する事業は着手に必要な調整等に時間を要するために事業開始が15年度以降になった県が見受けられため」と説明した。
 基金にもとづく事業について、医療介護総合確保の基本方針は「都道府県は事後評価を実施し、その結果を国に提出するとともに、公表するよう努める」とし、事業プランをまとめた都道府県計画に事後評価の方法を記載することを定めている。
 基本方針は、また、「国は都道府県計画に記載された目標の達成状況及び事業の実施状況についての検証を行ない、都道府県に必要な助言を行なう」とともに、事後評価に供するために「適正な評価指標の設定等を行なう」とも定めている。
 事務局は、促進会議に、14年度計画に対して各都道府県が実施した事後評価と区分別の事業実施状況を例示というかたちで報告。さらに、「適正な評価指標の設定」に向けて、厚生労働科研費にもとづく研究班に、結果、プロセス、構造に関する指標の開発を委託していることを明らかにした。
 この研究では、基金を活用した個別事業ごとの評価だけでなく、当該地域における医療と介護の連携を図る評価指標も検討される。
 ただし、研究事業は今年4月から17年3月末までの2年間であるため、定量的な評価指標にもとづく都道府県計画と個別事業の評価は17年度基金からの実施となる。
 事務局は、また、昨年策定した医療介護総合確保の基本方針の見直しに着手する方針を示し、次回以降議論を開始する考えを明らかにした。
 その時期について、18年度の第7次医療計画と第7期介護保険事業(支援)計画の同時改定を前に、17年度に医療計画基本方針と介護保険事業計画基本指針の改定が行なわれることから、これらに間に合うよう、「16年内から17年初頭をめどにとりまとめる」とした。
 これらの報告を踏まえ、この日の促進会議はフリートーキングを行なった。
 基金事業の評価指標に対して、西澤構成員(全日病会長)は、「機能分化にかかわる施設整備の状況を正確に把握する必要がある」と、緻密な調査の必要を説いた。
 さらに、「ハード面の整備だけでなく、機能分化の中で医療の質がどう変化しているかも調べる必要がある。厚労省は質に関する評価指標を設定して都道府県に把握するよう求めていくべきではないか」と論じた。
 一方、加納構成員(医法協会長)は「基金が公私別にどう使われたかも検証していく必要がある」と提起した。
 基金の使われ方に関しては、構成員から、「特定の病院の看護師宿舎やデイケア施設がつくられている。国庫補助事業で予定されていたものを基金につけかえたという話だ」との事例が報告された。
 これを受け、今村構成員(日医副会長)は「国庫補助事業からの付け替えが360億円に達している。基金における付け替えの内訳を明らかにすべきだ」と事務局に迫った。
 一方、相澤構成員(日病副会長)は、「基金によって国民に何が還元されるかがみえてこない。それというのも手段が目的化しているからだ。国民に何を還元するかを目標とすべきではないか」と主張した。

 

全日病ニュース2015年11月15日号 HTML版

 

 

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