全日病ニュース

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次期がん基本計画に向け検討始まる

次期がん基本計画に向け検討始まる

【厚労省・がん診療体制検討会】

●検討会に臨む神野副会長(右から2人目)

 次期がん対策推進基本計画の閣議決定に向け、「がん診療体制のあり方に関する検討会」が5月20日に、3年ぶりに会合を開いた。地域におけるがん診療のあり方や拠点病院の指定要件の見直しなどを議論し、来年1月の次期基本計画骨子案に対する提言をまとめる。座長に、北島正樹国際医療福祉大学副理事長を選任した。
 がん対策推進基本計画はがんの死亡者の減少やがん患者・家族の苦痛の軽減、がんになっても安心して暮らせる社会を目指すための計画。平成19年度からの10年間で75歳未満の年齢調整死亡率を20%減少させることを数値目標にしている。しかし現状で達成は困難な状況で、政府は昨年12月に「がん対策加速化」プランを策定した。
 がん対策推進基本計画に関わる議論は基本的には、がん対策推進協議会が行う。しかし今回、「検診」「医療提供体制」「緩和ケア」については、別の検討会でそれぞれ提言をまとめることになった。このうち、がん診療体制のあり方に関する検討会は「医療提供体制」をテーマに議論する。
 具体的には、「ゲノム医療」「情報提供」「がん診療連携拠点病院等における医療安全」「放射線治療」「がん診療連携拠点病院等の指定要件」の各項目について議論する。がん医療をめぐる状況が変化している中で、「これまで均てん化を目指してがん診療連携提供体制の整備を進めてきたが、今後がん診療提供体制はどうあるべきか」を課題にした。
 同日は、国立がん研究センター研究所の間野博行所長から「ゲノム医療」、国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長から「情報発信」について、話をきいた。
 間野所長は、「ゲノム医療」について、がんの分子標的治療薬など治療の観点と予防である遺伝子診断の観点から説明。遺伝子診断については「日本においてゲノム情報を用いて治療介入するゲノム医療を早急に開始する必要がある」と主張。病院がゲノム医療を提供する場合には、学術・病院・産業界の協力が不可欠で、広い範囲の人材が必要であることも示した。
 若尾センター長は同センターのホームページから検索できるがん情報サービスの状況を説明。がん診療連携拠点情報から提供される元データについて、院内登録やDPC データ、医療施設調査など既存のデータ活用で、より正確な情報を収集できるとした。
 全日病副会長の神野正博委員は、協議会や他の検討会の議論の状況を同検討会にも報告するよう求めるとともに、「がん治療の拠点病院は施設整備もマンパワーも必要。整備に際しては選択と集中が重要となる」と述べた。  

 

全日病ニュース2016年6月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 新専門医制度に関する厚労省の委員会が初会合

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160415.pdf

    2016年4月15日 ... とともに、様々な調査・研究や提言・. 要望を予定している。医療事故調査等 .... り方等
    に関する検討会」や「専門医養. 成の在り方に関する専門委員会」の検 .... 在」、「ゲノム
    医療の実用化推進」、「医. 療広告のあり方」、「特定機能病院のガ.

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