全日病ニュース

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業務改善を目指し業務フロー図の作成方法学ぶ

業務改善を目指し業務フロー図の作成方法学ぶ

第1回業務フロー図作成講習会を開催

 2016年度の第1回『業務フロー図作成講習会』が5月19日に開かれ、18病院・67名が参加して、業務フロー図の考え方と作成方法を学んだ。
 講習会の冒頭に挨拶した西澤寬俊会長は、「業務フロー図は普段の業務の洗い出しのみならず、医療事故調査制度の原因分析を行う際に非常に重要なツールだ。講習会の成果を各病院の業務改善に活かしていただきたい」と述べた。
 続いて飯田修平常任理事(医療の質向上委員会委員長)が業務フロー図の考え方を説明。「どんな仕事もプロセス管理が大事だが、とくに病院は極めて複雑な業務を複雑な組織で行っている。しかも患者の状態は常に変わり、業務の変更も多い。最もプロセス管理が求められる仕事である」と述べて、業務フロー図の意義を説明した。
 品質改善活動では、PDCA サイクル(Plan、Do、Check、Act)が基本となるが、なかでもPlan が一番大事だ。
 「Plan が適切でなければ、その後の過程が適切にできるわけがない」と飯田常任理事。重要な問題点を抽出し(問題発見)、その要因を分析して要因の対策を立案することが出発点となる。Plan を踏まえて、Do(対策実施)、Check(結果を検証)、Act(業務に落とし込む)の手順を踏んでPDCA サイクルを回す。
 Plan の段階で問題点を抽出するには、業務の手順を把握する必要があり、ここで業務フロー図が役にたつ。ただし、抽象的なレベルではいけない。「具体的な行動を記述したアクションレベルまで分析しないと問題点を抽出できない」(飯田常任理事)。
 手順としては、まず分析対象となる業務の概要を記載したプロセス概要図を作成し、その上で、詳細な業務フロー図(アクティビティ図)を作成する流れとなる。アクティビティ図を描くには、業務を分析して担当者を抽出し、役割を定義、行為・動作を抽出し、まとめる作業となる。
 「仕事がきちんとできることと、自分の仕事を把握し、プロセスを書けることは別のもの。プロセスを理解していないと医療の安全確保はできない」と飯田常任理事は解説した。
 グループワークで研鑽積む
 講習会では、業務フロー図の考え方や作成方法に関する講義を受けた後で、病院ごとに分かれてグループワークを行った。
 この日の課題は、プロセス概念図から詳細なアクティビティ図を作成すること。各病院は、事前に、①紹介患者の受け入れ、②結核疑い入院患者の対応、③造影CT 検査の業務フロー図作成の3つから1つを選び、自院の業務フローに基づいて業務フロー図を作成した。グループワークでは、担当講師の指導を受けながら、それぞれの病院の実情を踏まえた業務フロー図を作成した。
 全日病は、20年前から医療機関の経営には医療の総合的質経営(TQM)の導入が必要であると提言し、活動を続けてきた。この日の講習会もその活動の一環だ。また、2014・15年度の厚生労働科学研究「業務フロー図に基づく医療の質向上と安全確保を目指した多職種協働チームの構築と研修教材・プログラム開発に関する研究」の成果報告会を兼ねている。同研究事業では、2年間の成果をまとめて、『業務工程(フロー)図作成の基礎知識と活用事例』を作成。この日の教材として使用された。
 飯田常任理事らは、業務フロー図の教材づくりに続いて、特性要因図を学ぶための教科書づくりに取組む考えだ。
 業務フロー図は、業務の問題点を抽出する際に使われるが、要因を分析するには、特性要因図が有用。なお、今年度は、業務フロー図作成の講習会と特性要因図の講習会を別に実施する。  飯田常任理事は、「特性要因図の講習会にもぜひ参加してほしい」と呼びかけた。

 

全日病ニュース2016年6月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 病院のあり方に関する報告書 (2007年版)

    http://www.ajha.or.jp/voice/pdf/arikata/2007_arikata.pdf

    業務革新あるいは情報システムの開発・導入においては、業務フローの分析が必須で
    ある。しかし、個々の病院が、自院の業務フロー. を分析しフロー図を作成することは困難
    である。本書には、 .... 業務フローモデルの読み方:業務の担当者(アクターという)毎に
    列(スィムレーン)を区分し、行為(アクティビティ)を ...... 主任研究者:飯田修平常任理事
    ).

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