全日病ニュース

診療科別必要医師数の推計で新たに病院勤務医を試算

【厚労省・医師需給分科会】厚労省に推計のもととなるデータの開示求める

　厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会（片峰茂座長）は１月29日、診療科ごとの将来必要な医師数の計算方法について議論した。厚労省が病院勤務医の医師数を追加的に試算することなどの改善案を示し、了承された。
　2019年２月に、同分科会は診療科別の将来必要な医師数をまとめた。その推計に対して、都道府県ごとに診療科別の病院勤務医・診療所医師数の比率に差があるとの指摘がなされたため、厚労省は、2020年時点での必要医師数を計算する際には、病院勤務医の必要医師数を追加的に試算することを提案した。
　全日病副会長の神野正博委員は「追加試算には大賛成。入院・外来での必要医師数という観点がこれまでなかったことが大きな問題」と指摘した。
　さらに神野委員は、必要医師数の推計のベースとしてきた、ＤＰＣデータから求めた診療科と疾病等の対応表の開示を求めた。
　厚労省は2019年、2020年時点の推計に使用する対応表を公表するのは難しいとしつつ、今後新たに対応表を作成する際には開示できるものにする考えを示した。これに対し、片峰座長は「開示しなければ説明責任が果たされない」と述べ、厚労省にデータの開示に向けた検討を行うよう強く求めた。
　診療科別必要医師数の推計について、このほか◇患者１人あたりの医師の労働投入量の入院・外来の比率を計算する◇小児の将来需要は患者調査の15歳未満人口をベースに推計する◇放射線治療医と放射線診断医を分けて推計する◇麻酔科は外科だけでなく手術を行う診療科の需要をもとに推計する―などの改善点を厚労省が示し、異論がなかった。

海外医学部卒医師数の伸びを推計
　厚労省は、海外医学部に在籍し、日本の医師国家試験の受験を考えている者が登録するシステムを構築する案を示した。国試を受験する前から、海外医学部に在籍する学生の人数を把握することがねらい。マクロ需給推計の必要医師数には、海外医学部卒の医師数の将来的な伸びを反映させる方向だ。