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新型コロナウイルスの診療報酬上の対応を報告

新型コロナウイルスの診療報酬上の対応を報告

【中医協総会】「事後承認含め今後とも柔軟な対応求める」猪口会長

 厚生労働省は3月25日の中医協総会(田辺国昭会長)に、新型コロナウイルスの診療報酬上の対応を報告した(下記を参照)。感染者の発生などに伴う患者・医療従事者の予期しない変動に対応し、大規模災害時と同様の取扱いを実施しているほか、PCR検査を保険適用した。感染拡大を防止するための定期的な受診患者に対する電話等再診料の要件緩和や研修の延期なども認める対応を行っている。
 新型コロナウイルスは病院に様々な形で影響を与えつつある。感染者が発生した病院や感染者を受け入れている病院、医療従事者を派遣している病院だけでなく、地域の医療機関への影響も出始めている。オーバーシュート(感染者の爆発的拡大)が生じれば、次元の異なる対応も必要になってくる。一方で、感染を避けるために、医療機関への受診を控える患者が増え、外来患者が急減。収入源による経営悪化の状況が病院団体などに報告されている。
 厚労省は、同日の中医協で、その時点での対応状況を整理して報告した。森光敬子保険局医療課長は、引き続き感染状況の各段階に応じ、柔軟な対応を図っていくとの姿勢を示した。
 基本的には、東日本大震災や台風被害など大規模災害と同様の特例措置を講じている。具体的には、◇医療法上の許可病床数を超過する入院◇看護師の月平均夜勤時間数の変動◇看護配置の変動◇DPC対象病院の要件等◇本来の病棟でない病棟等に入院した場合─などで本来の措置を猶予した。
 また、これまでの大規模災害時では行っていない対応では、定期的な研修や医療機関間の評価を要件としている項目の一部について、研修や評価を実施できるようになるまでの間、実施を延期できることにしている。
 医療機関が電話等再診料等を算定できる要件は緩和した。慢性疾患の定期的な受診患者に対し、電話や情報通信機器を用いて診療し、医薬品を処方した場合でも算定できる。外来診療料の取扱いも同様となる。十分な衛生材料を適切に指導して提供する場合は、在宅療養指導管理料等を算定できる。薬局は、ファクシミリなどで医療機関から送付された処方箋情報で調剤し、調剤技術料等を算定できる。3月27日の事務連絡では、疑義解釈も示している。
 新型コロナウイルス感染症の医療は、DPC /PDPS で2022年度診療報酬改定まで出来高算定とした。
 DPC /PDPSでは、ICD10コードに基づく診断群分類点数表で費用を算定している。2020年1月31日の新型コロナウイルスに関するWHOの緊急宣言に伴い、新型コロナウイルスのコードは「COVID -19」となった。この疾患の診療を評価する包括点数はデータがないので、まだ設定することはできないため、出来高算定を行う。
 PCR検査は3月6日から保険適用されている。PCR 検査は1,800点、カテゴリーB感染物質輸送を行わない場合は1,350点。検査費用と判断費用については、公費の補助があり、自己負担は発生しないが、初再診料などの費用の支払いは生じる。
 全日病の猪口雄二委員は、厚労省の対応に一定の評価を与えるとともに、「今後とも、新型コロナウイルス対応による医療機関の運営で支障が生じる場合には、柔軟に診療報酬での対応を考えてほしい。その際に、こちらから一つひとつお伺いを立てて、許可を得る形ではなく、事後承認という形であっても認めるようにしてほしい」と要望した。これに対し、森光医療課長は概ね同意する回答を行った。

ゾルゲンスマは薬の取扱いで算定
 再生医療等製品であるゾルゲンスマ点滴静注(ノバルティスファーマ)は3月19日に薬事承認され、保険収載の申し出がなされており、今後、価格算定の審議が行われる。ゾルゲンスマの適応症は脊髄性筋萎縮症で、米国で212万ドル以上の値がついた遺伝子治療薬である。再生医療等製品を価格算定上どう取り扱うかは中医協で引き続きの課題となっている。今回は、「発現するSNNタンパク質が作用を発揮すること」、「静脈内に注射して投与する」ことから、医薬品として価格算定することが適当と判断された。
 一方、角膜上皮幹細胞疲弊症に対する角膜上皮細胞シートである再生医療等製品のネピック(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)は、医療機器として価格算定することを決定した。角膜上皮細胞をシート状に培養し、眼表面に移植する製品となっている。
 素材の価格変動が激しく、公定価格を上回ることがある歯科用金銀パラジウム合金については、「診療報酬改定、随時改定の3月後(7月、1月)において、素材価格の変動幅がその時点の価格のプラスマイナス15%を超えた場合に告示価格を改定する」との規定を加えることを了承した。現行では、「4月、10月の随時改定において、素材価格の変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス5%を超えた場合に告示価格を改定する」との規定がある。

被災地対応の特例を延長
 東日本大震災に伴う被災地特例措置の対応では、特例を利用していた3医療機関(岩手県1件、宮城県2件)のうち、岩手県の病院が再建され、終了となった。宮城県の2件は来年3月31日まで特例を継続できる。2019年の台風第15・19号に伴う被災地特例は現在、39医療機関、96薬局が利用している。現に特例を利用している医療機関、薬局については、9月30日まで継続できることを決めた。
 また、同日の中医協総会では、公益委員の小塩隆士・一橋大学教授の委員就任を了承した。各部会などは前任の松原由美・早稲田大学教授の後任となる。一号委員の宮近清文委員・日本経済団体連合会は同日の中医協総会を最後に退任する。

DPC制度の「退院患者調査」
 2018年度DPC導入の影響調査「退院患者調査」の結果が報告された。平均在院日数はDPC標準病院群で12.04日から11.86日に減少しているなど、対前年度比ですべての類型で短縮している。救急車による搬送患者割合もDPC標準病院群で17.8%から18.2%に上昇するなど、すべての類型で搬送患者割合が増加している。退院時転帰(治癒・軽快)の割合は、DPC標準病院群で81.9%から81.8%で横ばいとなっている。

 

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