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医療経済実態調査で６月単月調査の実施を了承

【中医協総会】直近のデータ把握を重視

　中医協総会（小塩隆士会長）は５月26日、医療機関の経営状況を把握するための医療経済実態調査について、直近２事業年度の決算データとあわせ、６月単月の調査を実施することを了承した。2022年度診療報酬改定の議論を行う上で、できる限り直近のデータを把握することが重要との認識で一致した。
　診療報酬改定の参考となる医療経済実態調査は通常、直近２事業年度の決算データを集計する。2022年度改定に向けての調査だと、2020年度改定の改定前後の2019年度と2020年度のデータとなる。2020年度改定による影響を把握するためだ。しかし、2020年に入ってから新型コロナの感染拡大が始まり、直近２事業年度のデータを集計しても、新型コロナの影響を除外して、2020年度改定の影響を把握することは困難になった。
　そこで厚生労働省は、新型コロナの感染収束を期待して、今回の調査が実施可能なぎりぎりの時期まで待って、単月調査を追加して実施することを提案していた。実務上、実施可能な最も遅い月は６月とした。その時に新型コロナが医療機関に与えている影響が小さければ、2020年度改定の影響を把握できるという考えだ。
　これに対し、診療側の委員は、ぎりぎりまで待つとしても、新型コロナの影響を免れることは難しく、回答する医療機関の負担が増えることから、実施には慎重な判断が必要と主張し、単月調査の実施については、５月の中医協総会で判断することになっていた。
　今回、実施の是非の判断が必要な時期となり、中医協総会で議論が行われた。状況は、期待した新型コロナの感染収束には至っておらず、新たな感染拡大が生じている。それでも、厚労省は、「できる限り直近のデータを把握することは意義がある」と主張。収益項目と費用項目をできるだけ簡素化した上で、2019年度６月、2020年度６月、2021年度６月の３カ年の単月データを調査対象に追加することを提案した。
　また、６月は賞与月であり、新型コロナの影響で賞与を減額している医療機関があることを踏まえ、給与費のうち、賞与を区別して把握する必要があるとした。
　単月調査の実施については、診療側・支払側双方とも、できるだけ直近のデータを把握するという趣旨に対し、賛意を示した。ただ、診療側の委員からは特に、調査結果について慎重な分析が必要であることが強調された。
　日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、単月調査実施の目的が、新型コロナの影響が少ない時期のデータを把握することから、直近のデータを把握することへと意味合いが変化したことを確認した上で、「新型コロナの感染状況はかなり地域差がある。調査結果の分析においても、地域差を考慮する必要がある」と述べた。
　他の委員からも、新型コロナ患者受入れの有無やワクチン接種事業への協力状況などにより、医療機関への影響は異なると予想されることから、2022年度診療報酬改定の参考資料とする際は、様々な留意が必要との意見が相次いだ。