全日病ニュース

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臨床研究医の募集で周知活動始める

臨床研究医の募集で周知活動始める

【日本専門医機構】一般より2カ月早い9月から募集開始

 日本専門医機構の寺本民生理事長は6月28日の会見で、臨床研究医コースの今年度の募集スケジュールの見通しなどを説明した。昨年度に初めて募集を開始した臨床研究医コースは、40名の枠に対し採用は26名で、想定を大きく下回った。寺本理事長は、周知不足が理由の一つであるとして、7月中旬に日本専門医機構による周知活動を行う。
 日本の基礎医学の水準は低下傾向をたどっており、各国との比較でもそれが表れている。2000年に入ってから低下し始めており、2005年と2014年を比べると、基礎医学論文数は4%減っている。寺本理事長は、「基礎医学の凋落に強い危機感を持っている」と述べ、臨床研究医コースがその歯止めになることに期待を示した。
 臨床研究医コースは、各診療領域のプログラム制やカリキュラム制と同じく、日本専門医機構が実施する研修であり、臨時定員増の枠である医学部の基礎研究医とは別である。7年間の研修のうち、5割以上を研究に充て、それ以外は臨床の専門研修を行う。専門医取得後は大学教員など基礎医学に関係する業務に従事することが想定されている。
 日本専門医機構による研修だが、臨床研究医コースは、都道府県別・診療科別のシーリング(定員の上限設定)の枠外となる。このため、「シーリング逃れ」の懸念もある。実際に研究者としての研修が行われることを担保するため、大学院の卒業には、英語論文2本を医学雑誌に投稿することなどを求める。詳細は今後整理する。
 ただ、昨年度に募集を開始したが、40名の枠に対し採用は26名だった。寺本理事長は、周知が不十分であったことと、始まったばかりの制度であるため、身分保障やキャリアパスへの不安が専攻医にあると説明した。その上で、将来的には「100名ぐらいまで増やしたい」との認識を示した。このため、7月中旬に機構による周知活動を行う。
 臨床研究医コースの募集は、一般の専攻医の募集の11月より2カ月早い9月から開始する予定だ。臨床研究医コースの採用に至らなかった専攻医は一般の専門医研修に応募することができる。

 

全日病ニュース2021年7月15日号 HTML版