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医療・介護データの連結解析に向けて検討に着手

【厚労省・医療介護データ解析基盤に関する有識者会議】

　厚生労働省の「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」は５月16日、初会合を開催した。レセプト情報・特定健診等情報データベース（NDB）および介護保険総合データベース（介護DB）の連結解析とともに、他の公的データベースとの関係について議論する。７月に中間とりまとめを行い、秋ごろに報告書をまとめて社会保障審議会の医療保険部会と介護保険部会に報告する予定だ。座長には遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長を選出した。
　初会合では、厚労省がNDBデータと介護DBの概要を説明した。
　NDBデータは、日本全国のレセプトデータ、特定健診等データを収集しデータベース化したもので、現在約９年分を格納している。
　2017年３月末現在で、レセプトデータは約148億1,000万件（2009年４月～2017年12月診療分）、特定健診・保健指導データ約２億2,600万件（2008年度～ 2016年度実施分）を収載している。
　介護DBは、介護レセプトデータと要介護認定データを保有する。介護レセプトデータは約5.2億件（2012年４月～ 2015年10月サービス提供分）、要介護認定データは約4,058万件（2009年４月～ 2016年５月分）である。

　NDBと介護DBの特質を説明
　NDBおよび介護DBの特質として、①社会保険制度を基盤とした悉皆的なデータベース②レセプト情報の二次利用による匿名データベース③関係者の理解・協力をベースとしたデータベース―の３点を説明した。
　①社会保険制度を基盤とした悉皆的なデータベースの特質として、◇項目が標準化され、保険者を問わずカバーできる◇全国ベース、地域・保険者ベースの双方に対応できる◇サービスの利用分析のみならず、提供体制や保健医療・福祉分野等の学術的な分析でも有用性が期待できる―をあげた。
　②二次利用による匿名データベースとは、本来レセプトは診療報酬・介護報酬の請求・支払に必要な内容として設定されているが、匿名化することにより公益目的で二次利用に役立てようというもの。
　③関係者の理解・協力をベースとしたデータベースとは、利用目的・利用形態について公益性・納得性が確保され、医療・介護情報が生み出される現場や関係者の理解を得られることが必要であることを確認している。

　諮問会議がデータの活用求める
　NDB と介護DB に対しては、経済財政諮問会議等が、◇医療と介護のレセプトデータを全国的に連結するとともに、◇健康・医療・介護のビッグデータを構築し、医療機関や保険者、研究者、民間等が活用できるにすることを求めている。
　こうした要請に対して厚労省は、NDBと介護DBは個々に収集、管理、分析が行われていることを踏まえ、第３者提供の枠組みを整理する必要があるとの認識を示している。
　その上で、厚労省は７月の中間とりまとめまでの検討テーマとして、①個人情報保護法制等との関係②データの収集・利用目的、対象範囲③第３者提供④実施体制⑤費用負担⑥技術面の課題（セキュリティの確保を含む）―をあげた。
　日本医師会の委員は、「NDBと介護DBを突合すると、個人情報のリスクが高まることは間違いない。試行運用で問題点を抽出した上で、一般的な利活用をお願いしたい」と述べた。
　保険者団体の代表は、「医療と介護のデータを結びつけるメリットがわかりにくい。研究者や医療関係者は理解していると思うが、国民に見えにくい。どういったメリットが期待できるかを明らかにしてほしい」と要望した。