全日病ニュース

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16年改定 DPC見直しの方向決まる。DPC分科会報告を了承

16年改定
DPC見直しの方向決まる。DPC分科会報告を了承

【診療報酬基本問題小委員会】
小山分科会長「重みづけ変更でⅢ群の評価が適正になる」

 中医協の診療報酬基本問題小委員会が10月8日に3ヵ月半ぶりに開かれ、DPC制度にかかわる報告・承認事項について審議した。
 DPC評価分科会から受けた報告・承認事項は、(1)DPC制度に関する検討結果(中間とりまとめ)、(2)2014年度特別調査の実施、(3)13年度DPC導入影響調査(退院患者調査)の結果、の3件。基本小委は(1)と(2)について了承した。

係数Ⅱ項目間の重みづけ変更も俎上か

 このうち、2014年度の特別調査は、以下の3テーマを取り上げて実施する。調査対象にはDPC準備病院も含まれる。
①分院に機能を移しているとみられる大学病院の実情把握(ヒアリング)
②不適切なコーディング事例がみられる現場実態の捕捉(ヒアリング)
③激変緩和の対象となった病院の現状確認(アンケート)
 ①については、分院におけるⅡ群要件の実績と本院のそれとの差が少ない医療機関および精神科病床をもたない医療機関が、②に関しては、実際に選択された診断群分類番号とEFファイル等から抽出してコーディングした診断群分類番号の乖離率が高い医療機関、③は14年度改定で激変緩和の対象となった医療機関がターゲットとなる。
 13年度DPC導入影響調査の「退院患者調査」について、DPC評価分科会は、その結果を「在院日数の短縮や他からの紹介の増加等、従来から認められる傾向が引き続き認められたが、13年度から新たに生じた変化は認められなかった」と要約した。
 この報告に対して、診療側の中川委員(日医副会長)は、退院時転帰における「治癒」の割合が、DPC対象・準備病院とも年々低下しているのに対して、出来高病院は上昇傾向にあることを指摘。
 「報告は『治癒+軽快に着目した場合、全ての病院類型で若干の増減はあるものの、経年的な変化は認められない』としている。しかし、平均在院日数が短縮していく中、治癒の割合の低下をどう考えるのか」と質した。
 これに、小山信彌分科会長(東邦大学医学部特任教授)が「必要であれば、分科会で再度、見直しをしたい」と答弁したところ、中川委員は「ということであれば、報告結果は(基本小委として)認められない」としたため、「13年度退院患者調査」の結果報告はDPC評価分科会に差し戻されることになった。
 近年の中医協では異例のできごととなった。
 「DPC制度に関する検討結果(中間とりまとめ)」は9月5日の分科会でまとめられたときの案を修正することなく、この日の基本小委に提示された。
 そのポイントは以下のとおり。
①ICD-10(2013年度版)への対応は次々回改定以降とする方向で検討する。
②重症度を考慮した評価は、MDCのうちの01、04、05、06、07、10、12を対象に、CCPマトリックスを用いて下4桁に対応する範囲の精緻化を図るものとし、MDC作業班で検討を進める。
③Ⅰ群は大学病院本院とする枠組みを維持し、ヒアリングを実施して、今後の取り扱いを検討する。
④Ⅱ群は地域における機能を要件とし、絶対値による基準値を検討する。
⑤Ⅲ群の細分化は行なわない。
⑥調整係数の置き換え完了に向けた枠組みとして、基礎係数と機能評価係数Ⅱの重みづけを見直す(機能評価係数Ⅱの重みづけを拡大して医療の質向上に対する努力をさらに評価する)。
⑦特別調査(アンケート)を踏まえた上で、激変緩和措置の方向性を決める。
 このうちの⑥に関して、診療側鈴木委員(日医常任理事)は「Ⅲ群病院の評価が十分ではないという声がある。そこを重点的に見直す方向で検討してほしい」と注文をつけた。
 これに対して、小山分科会長は「重みづけを変えることで、とくにⅢ群の病院の評価が適正になされるものと考える」と答弁した。
 一方、厚労省保険局医療課の佐々木企画官は、「重みづけの見直しについては、基礎係数と機能評価係数Ⅱの関係だけでなく、係数Ⅱの7等分の重みづけも見直してはどうかという議論もあった」ことを明らかにした。
 こうした議論に、診療側万代委員(日病常任理事)は「重みづけを変えるというが、やり方によっては現場は大混乱する。どのように変えるのか、案を固める前に一度(基本小委への)報告がほしい」と、慎重な手順を踏むよう求めた。
 支払側の榊原委員(愛知県半田市長)も、「Ⅱ群とⅢ群というのは経営の根幹にかかわる。地方の(自治体)病院は救急搬送は重症度にかかわらず受けざるを得ない。田舎でがんばっている病院も救われるような評価の仕方を考えてほしい」と要望した。
 基本小委後の本紙質問に、佐々木企画官は「個別の論点はまだ流動的だが、重みづけの見直しを議論する以上、係数Ⅱの7項目も俎上にのぼる可能性がある。基礎係数との割合とは別に、7等分の重みづけを見直すだけでも評価の大きな変化となる」と述べた。