全日病ニュース

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2014年度実施入院医療調査の概要を決める

2014年度実施入院医療調査の概要を決める

【入院医療等の調査・評価分科会】
事務局「本調査には地域包括ケア病棟を促すというメッセージが込められている」

 中医協・診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」が10月9日に4ヵ月ぶりに開かれ、入院医療に関する調査のうち、2014年度に実施する調査の概要を固めた。
 2014年度調査の実施概要案は中医協総会に諮った上で調査票に起され、年内に実施、年度内に結果報告がまとめられる。

 14年度の入院医療調査は、14年度改定の重要項目である、(1)一般病棟入院基本料等と総合入院体制加算、(2)地域包括ケア病棟入院料(管理料)、(3)療養病棟入院基本料等慢性期入院医療、(4)有床診入院基本料、(5)医療資源の少ない地域における評価、が対象となる。
 これ以外の、経過措置によって実施がずれ込む特定除外制度の廃止や一般病棟用「重症度、医療・看護必要度」ほかの一般病棟入院基本料等の見直し項目は15年度の調査となる。
 調査票を送る医療機関の数は、前出の(1)が7対1と10対1の1,800施設(前回と同数)、(2)は地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟、13対1・15対1の1,500施設(前回と同数)、(3)は療養病棟、障害者病棟、特殊疾患病棟の1,800施設(前回は2,200)が予定されている。
 12年の同時期に実施した前回調査の回答率は軒並み10%以下で、療養病棟が辛うじて10.6%というようにきわめて低かったため、追加調査が行なわれた。この日も、委員からは低い回収数への懸念が示されたが、事務局(厚労省保険局医療課)は「調査票の分量は前回より3割ほど減らした」と説明したものの、回答率の見込みは手控えた。
 入院医療調査の結果は16年度改定議論の有力な資料となる。前改定では、低回答率をDPCのデータで補足した上で、いささか強引なデータ流用を行ない、中医協総会レベルの見直し議論を誘導したため、事務局は改定後の総会で、「診療報酬調査専門組織の各分科会は中医協の議論で必要とされるデータとその分析結果を提供する場である」とその位置づけの再確認をさせられた。
 この日の分科会後のブリーフィングでも、事務局担当官は「調査結果を分析する場というのが、この分科会の大きな前提である」との見解を表明した。
 調査票には、地域包括ケア病棟入院料(管理料)届出施設に「地域包括ケア病棟における病棟の管理」を聞く項目が設けられる。この質問の趣旨について、事務局は「当該病棟の役割、機能、位置づけをどう考えているか聞くためだ」と答えたが、ブリーフィングでは「自由記載よりも選択方式を考えている」と説明した。
 そのブリーフィングで、担当官は、この調査の第1の意義を「本調査には地域包括ケア病棟を促すというメッセージが込められている。その進捗状況と影響具合を把握して次につなげたい」と語った。
 その上で、本調査は、短期滞在手術、在宅復帰率、「重症度、医療・看護必要度」等の把握を可能とし、入院前後の患者の居場所などから患者の流れも読み取れる縦断調査であるという認識を披露した。また、全施設にたずねる在宅復帰率については計算式を統一する方針であることを明らかにした。
 事務局が示した調査概要の案に対して、神野委員(社会医療法人財団董仙会理事長・全日病副会長)は、「調査の対象日は1日なのか」とたずねた。
 「基本はそうだが、項目によっては1週間あるいは1ヵ月間の状況を答えていただく」という事務局の答弁に、神野委員は「亜急性期や慢性期の患者は不定期な状態変化を繰り返すので、1日で切ると実態よりも低い数値が出やすく、その少ない数値を分析で排除されると実態を見誤る恐れがある。きちんと精査する、あるいは追加調査する態勢をとる必要があるのではないか」と述べ、留意を求めた。
 この意見に、事務局は「患者の状態変化を、例えば1ヵ月調べるといった項目の追加は可能。ご提案いただきたい」と応じた。
 池端委員(医療法人池慶会理事長)は「同じ在宅復帰率でも、療養病棟の在宅復帰機能強化加算には1ヵ月以上入院という縛りがあって他とは違う。共通した条件と療養病棟固有のものと両方のデータをとるべきではないか」と提案、事務局はその考えを首肯した。
 分科会は、修正意見の反映を武藤分科会長に委ね、事務局案を了承した。