全日病ニュース

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「健康サポート薬局」の機能・基準・要件を提言

「健康サポート薬局」の機能・基準・要件を提言

かかりつけ薬局の整備へ、基準満たした薬局の公表制度が15年度から開始

 かかりつけの薬剤師・薬局を地域に整備していく上で、当該薬剤師・薬局が担う機能と基準を明確にした報告書(「健康サポート薬局のあり方について」)が、9月24日に公表された。
 報告書は、①服薬情報の一元的な把握と薬学的管理・指導、②24時間対応・在宅対応、③医療機関等との連携強化という3つの視点からその定義(機能)を整理するとともに、具体的な基準を示している。
 また、④受診の勧奨や関係機関への紹介等地域における連携体制の構築、⑤一定の研修を修了した実務経験を有する薬剤師の常駐、⑥パーテーション等で区切られた相談窓口の設置等薬局の設備、⑦要指導医薬品等、衛生材料、介護用品等の供給、⑧平日一定時間以上、土日も一定時間の開局、⑨健康相談・健康サポートの体制といった面から、求められる要件を提示している。
 報告書は、厚生労働省内に設置された「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」がとりまとめた。
 検討会は、今年6月の骨太方針2015に「かかりつけ薬局の推進のため、薬局全体の改革について検討する」と明記されたことを受けて、厚労省の医薬・生活衛生局(旧医薬食品局)が6月に設置。
 「かかりつけ薬剤師・薬局が、地域住民による主体的な健康の維持・増進を支援すること(健康サポート)を行うことに関する基準やその公表の仕組み」について検討してきた。
 かかりつけ薬剤師・薬局の育成は、地域包括ケアシステムの構築に向けて薬剤師・薬局を地域の多職種連携に参加させていく、高齢患者の増加に対応するために重複投薬・残薬の防止に服薬管理の機能を強化する、予防・健康増進に取り組む地域住民のセルフメディケーションを促すために供給と指導・相談機能を向上させるなど、多様な面からその必要が指摘されている。
 この“薬局改革”は調剤報酬と直接には連動しないものの、提供体制の改革として、薬局評価の見直しなど調剤報酬の適正化を促していくのは必至だ。
 報告書とりまとめ最終局面の検討会(9月14日)では、大筋で報告書案の合意に達したものの、薬局の名称やOTC医薬品(一般用医薬品)の販売を要件にするかどうかで意見が分かれたため、判断を座長(西島正弘昭和薬科大学学長)に一任された。
 公表された報告書は、名称を「健康サポート薬局」とする一方、OTCに関しては「基本的な薬効群を原則としつつ、地域の実情に応じて、当該薬局において供給する」と記すにとどめ、厚労省が「一般用医薬品等を、原則として中分類につき2銘柄以上の医薬品を取り扱う」と提案していた製品群や品目数などの盛り込みは見送られた。
 厚労省は、薬局機能情報提供制度の報告事項に「健康サポート薬局」を追加し、どの薬局が「健康サポート薬局」であるかを地域住民に公表していくとしているが、同時に、より国民に周知させる方法を考える必要があるとの認識から、2015年度の健康サポート薬局公表制度の創設に向けてさらに検討を進めていく方針だ。
●構成員である安藤副会長のコメント
 検討会では、地域に密着した小規模薬局の立場も十分に考慮するよう一貫して主張してきたが、最大のネックであった一般用医薬品の供給体制を厳密な要件にしなかったことは評価できる。