全日病ニュース

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医療・介護分野の今後の改革項目を議論

医療・介護分野の今後の改革項目を議論

【財政審】
オプジーボで1兆7,500万円の費用を予測

 財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会(分科会長=吉川洋・立正大学経済学部教授)は4月4日、骨太方針2015に盛り込まれた経済・財政再生計画の医療・介護分野の改革項目を議論した。また、日本赤十字社医療センターの國頭英夫・化学療法科部長が、がんの最新治療と医療費との関係を説明。抗がん剤など高額薬剤に対する費用対効果評価の必要性を主張した。
 財務省は今後の改革項目として、◇療養病床の適正化◇入院時の光熱水費の自己負担化◇外来受診時定額負担の導入◇診療報酬の都道府県の特例措置◇高額療養費の外来上限や高齢者の負担上限見直し◇市販類似薬の保険外し◇後期高齢者の窓口負担引き上げ◇介護保険の利用者負担引き上げ◇介護納付金の総報酬割への移行─ を列挙。様々な給付費抑制策が、今後の議論の俎上に上がることを示した。
 委員からは「世代間格差是正に向けた給付と負担の見直しをさらに進める必要がある」、「湿布薬のような市販類似薬は、自分で買えばよいのでは」、「医療保険財政が厳しいことを現場の医師に理解してもらう必要がある」、「風邪や指を切った場合などの医療費は自己負担にすべき」などの意見が出たという。
 一方、國頭部長は、画期的な新薬が登場する一方で、薬剤が高額化する状況を説明した。例えば、肺がんの免疫療法で用いる小野薬品工業のオプジーボ(ニボルマブ)は、仮に5万人が1年間使った場合、その費用は1兆7,500万円にまで膨らむ。医療保険制度を今後とも持続可能とするためには、費用対効果評価を考慮する必要があると主張した。
 國頭部長の説明を受け、分科会委員から、今後の高額薬剤の医療保険上の取扱いに方向性を与えるような意見は出なかった。
 吉川分科会長は終了後の会見で、問題意識を共有したものの、「第一義的には専門的な知識をもった医師が判断すること」と述べ、個別の薬剤の使用に関し、意見を述べることは避けた。
 その上で、医師に対して「問題の所在を認識してもらい、リーダシップを発揮してほしい」と期待を示した。また、委員からは、高額薬剤を使用する場合のガイドラインの整備を求める意見があったという。

 

全日病ニュース2016年5月1日号 HTML版

 

 

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