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薬剤費の伸びが医療費に与える懸念を共有する

薬剤費の伸びが医療費に与える懸念を共有する

【中医協総会】
2015年度の伸びの主因は高額薬剤

 厚生労働省は9月28日の中医協総会(田辺国昭会長)に、2015年度概算医療費の結果を報告した。対前年度伸び率は3.8%となり、最近の水準に比べて高い伸びとなっているが、その原因は主にC型肝炎治療薬のハーボニー(ギリアド・サイエンシズ)とソバルディ(同)と分析している。中医協は薬剤費の伸びに対する懸念を共有。薬価制度見直しの必要性を確認した。
 2015年度の概算医療費は41.5兆円で伸び率は対前年度比で3.8%。最近の伸び率は診療報酬改定のない年度でも、2011年度は3.1%、2013年度は2.2% と落ち着きをみせていた。診療種別では調剤が9.4%と高く、入院は1.9%で低い。入院外は3.3%でやや高い。調剤のうち、薬剤料の伸びが11.3%と高く、薬効分類別では、抗ウイルス剤が249%と格段に高い伸び率となった。ハーボニーとソバルディの影響と考えられる。
 3.8%の医療費の伸び率を分解すると、高齢化の影響が1.2%、人口減の影響が▲ 0.1%で、それ以外の2.7%が「医療の高度化等」とされる。そのうち、薬剤料の影響が1.4%で、抗ウイルス剤を含む化学療法剤の影響が0.77%だった。
 一方、後発医薬品の使用促進の効果も示した。2014年度の効果を推計したところ、後発品の数量シェア56.4%の時点で、医療費に与える影響は▲ 0.5%で約2,000億円となった。平均在院日数減少による影響(▲ 0.4%)よりも大きい。
 概算医療費の結果を受け、委員からは「医療費の伸びの大半が何であるかがわかり、我々がやるべきことが明らかになった」といった意見が出た。
 ただハーボニーとソバルディに関しては、2016年度改定で市場拡大による特例再算定を実施し、薬価が大幅に下がり、売上げ数量も減っている。今年度に入ってから売上げ金額は落ちており、「ピークは過ぎた」との指摘もある。高額薬剤の売上げに関し、状況を的確に把握し、慎重に対応すべきとの意見が出た。中医協は次回以降、来年度のオプジーボの薬価引下げを含めた高額薬剤への対応の議論を行う。
エチゾラムの投薬上限を30日に
 中医協は同日の総会で、精神安定剤のエチゾラムと睡眠障害改善剤のゾピクロンの投薬期間の上限を30日とすることを決めた。これまで上限はなかった。2剤が「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬抗精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」で向精神薬に指定されたことに伴う対応。向精神薬では、不安や睡眠障害に対し、処方する頻度の高いものは上限を30日に設定しており、それにならった。
 政令は10月24日に施行されるが、2剤の上限設定は11月1日から適用する。
 そのほか、DPC 制度に関し、2016年度定例報告があり、機能評価係数Ⅱ・保険診療指数で「病院情報の公表」を評価することが説明された。10月1日時点で公表していれば、来年度から加点ができる。全日病副会長の猪口雄二委員は、「10月1日の公表に関して配慮を求める」と発言。厚労省から「10月1日は土曜日でもあり、(決済が間に合わないなどの理由であれば)柔軟に対応したい」との回答を得た。

全日病ニュース2016年10月15日号 HTML版

 

 

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  • [2] 全日病ニュース 2016年6月15日号

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