全日病ニュース

厚労省が「特養の医療ニーズにより対応できる仕組み」提起

【厚労省・介護保険部会】
次期介護報酬改定での対応を検討

　社会保障審議会・介護保険部会（遠藤久夫部会長）は９月23日と30日に会合を開き、来年に法案提出を予定している介護保険制度の改正に向けて、保険者機能やサービス提供のあり方について議論した。
　23日は、（1）保険者等による地域分析と対応、（2）介護保険総合データベースの活用、（3）サービス供給への関与のあり方、（4）ケアマネジメントのあり方が議題になった。
　厚生労働省は、（1）保険者等による地域分析と対応に関して、「実態把握・課題分析を通じて地域における共通の目標を設定し、その達成に向けた具体的な計画を作成・実行」してPDCA を回していく「地域マネジメント」を保険者機能に位置づける必要を提起。そのために必要なデータを収集するために、市町村が国に介護給付費や要介護認定等のデータを提出することを法律上位置づけるとともに、国はそれらのデータを集計・分析して地域分析に資するデータの提供やガイドラインの策定等の支援を行うことを提案した。
　さらに、市町村が策定する介護保険事業計画に、高齢者の自立支援と介護の重度化防止に向けた具体的な取組みとその目標を記載することを義務づけるとともに、都道府県が実施に努めるべき支援を法律上明確化。その上で、取組みのアウトカム指標やアウトプット指標（プロセス指標）を国が設定し、市町村と都道府県で自己評価し、その結果を国に報告する仕組みを構築していく方向性を示した。
　その上で「財政面においても、市町村や都道府県に対するインセンティブづけについて検討していくべきではないか」とした。
　（2）ではデータベースの第三者提供を可能にすること、（3）では在宅サービスの供給に関わる事業者指定に対する市町村の関与の強化、（4）では、①ケアマネジメント手法の標準化、②居宅介護支援事業所の運営基準等の見直し、③ケアマネジメントの利用者負担導入の是非の検討を提起した。
　このうち、ケアマネジメントの利用者負担の導入に関しては賛否が相半ばした。
特養の看取りの対応が論点に
　９月30日の介護保険部会は、（1）介護予防の推進、（2）地域支援事業の推進、（3）ニーズに応じたサービス内容の見直しについて議論。厚労省は、（3）において、①通所リハにおけるリハ専門職配置の促進、②通所・訪問リハ等を含む退院後早期のリハ介入の促進、③特養における医療ニーズや看取りにより対応できる仕組みの導入を提起、次期改定で検討する必要があるとした。
　論点ではこのほかに、（1）～（3）を通して、④市町村が行う介護予防事業に都道府県や医療機関等からの人材派遣や情報提供等の協力を得やすい体制を整えていく、⑤同事業で高齢者個人に対するインセンティブを付与する仕組みを実施できることを明確にする、⑥地域包括支援センターによるケアマネジメント支援等の評価指標を国が定める、⑦地域ケア会議の業務を具体化・明確化する、⑧地域包括支援センターの評価指標を国が定め、それにもとづく評価を市町村と地域包括支援センターに義務づけることが提案された。
　委員からは、地域包括支援センターの業務と評価を強化する考え方に対して、「人的・財務的体制を強化すべき」との意見があったほか、重度者が増えた特養について「（配置医や看護師のあり方を含む）医療提供のあり方を外付けも含めて全体的に検討すべき」との意見があった。また、退院後早期のリハ提供の促進に関しては「訪問介護とリハ専門職との連携を所属機関にかかわらずもっと評価すべき」といった意見が示された。