全日病ニュース

ICUなどに入院するコロナ患者の入院料３倍に

【中医協総会】回復後、転院を受け入れた医療機関にも特例

　中医協（小塩隆士会長）は５月25日に、持ち回りで総会を開き、新型コロナウイルス感染症患者への入院医療の特例的な対応を了承した。専用病床の特定集中治療室などに入院する重症者への治療に対する診療報酬を、通常の３倍とする。中等症の感染者への入院医療では、救急医療管理加算を通常の３倍の点数で算定できるようにする。新型コロナへの感染が疑わしい患者も対象となることも明確化した。
　４月18日の対応ではすでに、特定集中治療室などに入院する新型コロナ感染症患者への治療に対する診療報酬を通常の２倍としていた。中等症の感染者への入院医療では、救急医療管理加算を通常の２倍の点数で算定できるようにしていた。
　また、医療従事者の感染リスクに配慮した評価として、人員配置に応じて、「二類感染症患者入院診療加算」（250点）の２～４倍に相当する点数を算定できるようにしていた。
　今回、重症者への診療の評価を３倍にしたことについて、厚生労働省は「現に受入れを行っている医療機関においては、実態として、通常の３倍以上に相当する人員を確保していた」ことを理由にあげた。
　具体的な状況では、◇ECMO（体外式膜型人工肺）の運用では、通常の２倍以上の人員配置が必要◇PPE（個人防護具）を着用した状態では、通常と比較し業務の効率が落ちる◇職員のメンタルヘルス対策や、休暇の確保の観点から、待機要員を含め通常の２倍以上の人員を確保する必要がある─との実態が医療機関に対するアンケート調査結果などから明らかになったという。
　また、全日病、日本病院会、日本医療法人協会が５月18日に、病院経営状況緊急調査の結果を発表し、病院経営の深刻な状況を示した上で、加藤勝信厚生労働大臣に要望書を提出したことを踏まえた対応とも考えられる。要望書における病院への支援については、診療報酬での特例的な対応と、５月27日に閣議決定された第二次補正予算案に盛り込まれた補助金による手当ての両者で、一定程度対応が図られた形だ。
　特定入院料が通常の３倍になることで、以下のような点数の変化がある。救命救急入院料１（３日以内）は1万223点が3万669点、特定集中治療室管理料１（７日以内）は1万4,211点が4万2,633点、ハイケアユニット入院医療管理料１は6,855点が2万565点になる。通常の３倍となるのは、新型コロナ感染症患者に対応した専用病床を確保した病院を対象としている。
　また、これまでの特例では、重症患者でECMOや人工呼吸器による管理などを行った呼吸器を中心とした臓器不全の患者に限定していたが、「医学的な見地からICU等における管理が必要な患者」を追加し、緩和した。人工呼吸器などを取り外すことのできた直後の状態などを想定している。
　中等症の感染患者への治療の評価は、救急医療管理加算１で行っており、今回の特例で通常の950点が３倍の2,850点になる。
　中等症の感染患者は酸素療法が必要な状態を想定していたが、「医学的な見地から急変に係るリスク管理が必要な患者」を追加し、緩和した。免疫抑制状態にある患者の酸素療法が終了した後の状態など、急変時のリスクに鑑み、宿泊療養や自宅療養の対象とすべきでないと判断された患者を想定する。
　救急医療管理加算の算定日数は、通常は７日まで。前回の特例では、これを14日まで延長した。今回の特例では、15日以降も算定できる。
　さらに、治療の結果として、新型コロナからは回復したものの、引続き入院管理が必要な患者については、転院を受け入れた医療機関の必要な感染予防策を講じた上で実施する入院診療を評価するため、二類感染症入院診療加算（250点）を算定できる。