全日病ニュース

健康診断における新型コロナウイルス感染症対策で要望

【人間ドック委員会】健診・人間ドックを休止・規模縮小した施設は６割以上

　全日病は、5月１日に日本総合健診医学会・日本人間ドック学会・全国労働衛生団体連合会・日本病院会と連名で、「健康診断における新型コロナウイルス感染症対策について」の要望書を厚生労働省の健康局長、労働基準局長、保険局長あてに提出した。５月23日の第１回理事会・第2回常任理事会で人間ドック委員会委員長の西常任理事が報告した。
　新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、労働安全衛生法に基づく健康診断や高年齢者医療確保法に基づく特定健康診査などについて実施猶予や中止が要請されているほか、がんや生活習慣病の任意型健診も健康保険組合等により休止されている。要望書は、長期間に渡る受診の遅れが不利益を生む可能性を否定できないと指摘。感染症の収束には相当長期間を覚悟する必要があるとした上で、健診機関として順守すべき事項を「健康診断における新型コロナウイルス感染症対策」として取りまとめ、これに基づいて感染症対策に取り組んでいることを紹介した。さらに感染症対策を確実に実施する上で、マスクや消毒液、医療用手袋等感染症対策に必要な資材が不足していると訴え、健診機関への配慮を求めている。
　「健康診断における感染症対策」では、いわゆる「３密」（密閉・密集・密接）を可能な限り回避するため、１日の予約者数、予約時間帯等を調整することに加え、健診会場ではマスク（サージカルマスク、布マスク等）の着用を原則とし、発熱があるなど健診受診者として不適当と判断した場合は受診者に説明した上で、後日体調が回復してからの受診とするなどの対策を定めている。
　また、西常任理事は、新型コロナウイルス感染症に関する健診施設への影響度調査の結果を報告した。調査は、全日病の人間ドック実施指定施設を対象に４月に実施し、265病院が回答した（回収率61.3%）。
　健診・人間ドックの利用者数を昨年と比較すると、３月の健診利用者数は前年の平均579.6人から495.6人に減少。また、人間ドック利用者数は前年の201.2人から181.2人に減少した。
　健診・人間ドックの実施状況をみると、「影響なし」は16.5％、「施設自体を休業」が4.5％、「健診・ドック業務休止」が29.2％、「規模縮小・日程変更」が30.5％となり、６割以上の施設が影響を受けていることがわかった。