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ホーム全日病ニュース(2020年)第977回/2020年12月15日号医療・検査体制や医療機関への経営支援

医療・検査体制や医療機関への経営支援

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【国民医療を守る議員の会】2.9兆円の新たな予算確保を提言

 国民医療を守る議員の会は12月4日、医療社会保障財源確保に関する提言を行った。第3波ともいえるコロナの感染拡大を踏まえ、第2次補正予算の予備費や第3次補正予算を見込み、総額2兆8,993億円の対策を盛り込んだ。医療・検査体制の拡充や医療機関の経営危機への支援策が中心だ。
 全日病副会長の安藤高夫衆議院議員らが、鴨下一郎会長代行とともに田村憲久厚生労働大臣に提言を手渡した。
 要望事項は、◇PCRセンターの設置・維持(更新)◇ベッド確保・コロナ専門病院の整備(既存・新規)◇地域医療維持交付金(更新)◇抗体検査(既存)◇研究開発費(既存)◇PPE確保(既存)◇地域介護維持交付金(更新)◇介護老人保健施設の経営支援(既存)◇ I-MAT(事件現場医療派遣チーム)派遣体制の確立(更新)─。
 合計7兆3,711億円を積算し、第1次補正予算(2,267億円)、第2次補正予算(2兆9,426億円)、第2次補正予算の予備費(1兆3,025億円)からなる、これまでの対応分を差し引いた2兆8,993億円を要望額としている。
 検査に関しては1日40万件の体制を確保し、検査センターを全国に1,100か所設置することを求めた。1日30万人の発熱・呼吸器感染症が警戒され、インフルエンザが1日10万件とすると、コロナ検査は最低20万件が必要。さらに、積極的疫学調査やエピセンター抑制、ハイリスク者保護のためのエッセンシャルワーカーの検査用を加えると、40万件となる。抗原検査の大幅拡充も訴えた。
 コロナ専門病床は5万床が必要と見込んだ。重症者ICU、中等症用コロナ専門病院・モバイルホスピタル、軽症用宿泊療養施設(ホテルに医療やモニタリングシステムの導入)、空床確保を含め十分な財源を確保すべきとした。特例の「診療報酬5倍」は「確かに効果がある」と指摘しつつ、コロナ患者受入れ病院の減収は大きく、「減収額は5割をはるかに超えるという試算もある」と指摘した。
 コロナ対応以外の医療機関も受診抑制により減収の影響は甚大だ。提言では、「倒産すれば、医療崩壊が起きるリスクがある」と強調。「冬の第3波対策で最も重要なのは、これらの医療機関にも、1日40万件以上必要になるコロナ検査を行ってもらうなど、コロナ対応の医療体制に加わってもらうことである」と主張した。
 医療機関の財政支援としては、地域医療維持確保給付金の創設や無担保・無利子融資枠の拡大、休業補償など医療機関に対し、「これまでにない高い水準で支援するべき」と要望した。
 PPEの費用が高騰した際の支援や国内生産体制の確保、介護施設でクラスターが発生した場合にI-MATを派遣できる財政支援も求めている。

窓口負担2割への引上げで医療界が慎重な対応求める
 四師会をはじめ医療・介護関係の41団体で構成する国民医療推進協議会(中川俊男会長)は12月2日に総会を開催。75歳以上の高齢者に対する患者負担2割への引上げについて、「慎重な対応を求める」との決議を採択した。
 中川会長は、コロナへの不安から、医療機関への受診控えが続いているような時期に政策を進めることは、「国民の信頼は得られない」と訴えた。
 窓口負担の引上げについては、政府の全世代型社会保障検討会議の中間報告で、方向性を決めている。しかし、その範囲をめぐり年内の最終報告とりまとめに向け、調整が続いている。

 

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