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ホーム全日病ニュース(2020年)第977回/2020年12月15日号低酸素状態を判断する個別審査を廃止

低酸素状態を判断する個別審査を廃止

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【産科医療補償制度】在胎週数28週以降なら補償対象に

 日本医療機能評価機構の産科医療補償制度の見直しに関する検討会(柴田雅人理事長)は11月30日、報告書案を概ね了承した。産科医療補償制度における補償対象基準や保険料水準などの見直しを盛り込んだ。報告書案は一部修正した上で、厚生労働省の社会保障審議会・医療保険部会に提出。制度見直しは、2022年1月から実施される予定となっている。
 産科医療補償制度は2009年1月に創設された。分娩に際して、医療事故で脳性麻痺になった事例に対し、補償金を給付するとともに、原因分析を行う。2015年には補償対象となる脳性麻痺の基準や掛金を改定した。前回改定から5年経ち、見直しの時期を迎えたため、9月から検討を始めていた。
 補償対象基準は現在、通常分娩で脳性麻痺になった子どもで、「在胎週数32週以上かつ出生体重1,400g以上」または「在胎週数28週以上で低酸素状態による所要の要件に該当する場合」。後者は個別審査になるが、今回、「低酸素状態による所要の要件」を廃止し、一般審査に統合することを決めた。在胎日数28以降で、低酸素状態をデータで示すことができなくても、補償対象とする考えだ。除外基準は維持する。
 また、補償対象者は制度創設時、全国的なデータがない中で、年間500~800人を見込んだ。しかし、2009年~2014年の実績に基づき試算すると、年間455人( 推定区間380人~ 549人)となった。この推計と制度見直しの影響を合わせ出産育児一時金に上乗せしている保険料水準を計算すると、1分娩当たり2.2万円。このうち掛金が1.2万円、保険料充当額が1万円となる。これに伴い、出産育児一時金に上乗せしている1.6万円の掛金は下がる見込みだ。

 

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