全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2021年)第981回/2021年3月1日号顔認証付きカードリーダーの申込が低迷

顔認証付きカードリーダーの申込が低迷

顔認証付きカードリーダーの申込が低迷

【社保審・医療保険部会】オンライン資格確認の進捗状況

 厚生労働省は2月12日の社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)に、3月下旬から本格稼働するオンライン資格確認稼働に向けた進捗状況を報告した。オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関は28.5%。厚労省は、3月時点で医療機関の6割程度で導入することを目指してきたが、3割弱にとどまっている。
 内訳は、病院38.0%、医科診療所21.0%、歯科診療所23.3%、薬局44.6%。普及が低調となっている理由のひとつに、システムベンダーによるシステム改修費用の見積もりが過大になり、導入に踏み切れない医療機関があることが指摘されている。
 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、「納得できないような見積もりをベンダーが持ってくることがあり、医療機関は導入に二の足を踏んでいる。厚労省がベンダーに働きかけているというが、これまでのところは、はっきり言って改善されていない」と指摘した。
 厚労省の山下護医療介護連携政策課長は、大手システムベンダーに対して、見積もりの適正化を依頼しているとし、「例えば、セットアップに20万円かかると書くだけでは医療機関側は納得できないので、ベンダーには、何人が時給いくらで何時間作業するかということまで見積もりで示し、医療機関が理解できる内容にするよう伝えている」と述べた。個別の医療機関からの相談にも対応しているという。
 健康保険組合連合会副会長の佐野雅宏委員は、患者には、どこの医療機関がオンライン資格確認を導入しているかがわからないことから、「混乱防止のため、当面は既存の保険証を使うことが確実だと、被保険者に伝えざるを得ない」と述べた。国民へのオンライン資格確認制度の周知においては、誤解を生まない工夫が必要だと指摘した。
 一方、厚労省は、訪問看護のレセプトについて、2023年1月からオンライン請求を開始する予定であると報告した。協会けんぽ理事長の安藤伸樹委員は、これに同意した上で、医科と歯科のレセプト請求を紙媒体や電子媒体で提出するケースが未だあり、それに対応するために支払基金と国保連の事務が非効率的な作業を行っていると指摘。「できる限り早期にオンライン請求を100%にするよう、紙媒体でのレセプト請求は廃止する方針を出すべき」と求めた。電子媒体での提出を廃止する目標年限も定めるべきと主張した。
 また、厚労省は医療保険部会に、2月5日に政府が健保法等の改正案を国会に提出したことを報告した。改正案には、後期高齢者の窓口負担割合を見直し、2割負担を導入することを盛り込んでいる。これに関連して、厚労省は、都道府県別に2割負担となる後期高齢者の被保険者数を示した。
 2割負担となるのは、高齢者の被保険者全体のうち、20.5%。都道府県別にみると、神奈川県28.4%、千葉県25.8%となり、比較的所得の高い首都圏では2割負担となる人の割合が高い。他方で、秋田県12.6%、青森県12.7%など、東北や九州では2割負担の対象者割合が低い傾向がある。施行後3年間の配慮措置は、負担増となる被保険者の8割が受けられると想定される。

 

全日病ニュース2021年3月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年11月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/201101.pdf

    2020年11月1日 ... め、システムのクラウド化を図る方針. も確認している。 医療は対面 ... 生労働省
    による協議会」、「レセプト情. 報等の提供に関する ... 医療機関が導入に二の足
    を踏む要因. の一つとして、システムベンダーによ. る医療機関の ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。