全日病ニュース

感染拡大を食い止める強いメッセージ求める

四病協など医療関係９団体が緊急声明を発表

　新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大していることを踏まえ、四病協をはじめとする医療関係9団体は『新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大への緊急声明』をまとめ、７月29日に発表した。首都圏など感染者が急増している地域に対して早急に緊急事態宣言を発令するよう要請。感染拡大を食い止めるためにあらゆる手立てを尽くすことを政府に求めた。感染収束の目途がつくまで、テレワーク・直行直帰を推奨するとともに、ワクチン接種を進め、できるだけ早く完了させることを要望した。
　全日病の猪口雄二会長は、「東京は感染爆発に差し掛かった。1 ～ 2週間でどのようなことになるか恐怖を覚える」と述べ、政府に対し、人流を止めるために強いメッセージを出すことを訴えた。
　緊急声明に加わった９団体は。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、東京都医師会。

危機感の共有と対策の実施を訴える
　東京都を対象に緊急事態宣言が７月12日に発令されたが、東京都の新規感染者は増加を続け、そのスピードが速くなっている。
　９団体の緊急声明は、救急搬送困難事案が全国の代表的な都市部で増加し、特に新型コロナウイルスの感染疑い例が大幅に増えていると指摘。感染再拡大により医療が逼迫しているとして、「爆発的感染拡大を避けるために危機感の共有と対策が必須」と訴えた。
　全国の都道府県は、第３波、第４波の経験を踏まえ、病床・宿泊療養施設確保計画を作成し、新規感染者の増加に対応するための病床数・居室数を確保している。緊急声明は、「病床確保計画が実際に機能するよう、医療界を挙げて重症・中等症・後方支援等のそれぞれの役割を担っていく」と決意を表明した。しかし、病床や陰圧室、マンパワーが不足している上に、準備病床を即応病床に移行するには、少なくとも10日から２週間を要することを説明し、急激な感染拡大が続けば病床の逼迫は避けられないと訴えた。「平時ならば救えた生命を失うことはあってはならない。医療者はできうる責務はすべてまっとうする」と強調し、政府に対して、感染拡大を食い止めるためにあらゆる手立てを尽くすことを要請している。

ワクチン接種に協力姿勢を強調
　緊急声明は、新型コロナのワクチンについて、「強い使命感を持って集団接種と個別接種の体制を構築し、ワクチン接種を進めてきた。希望されるすべての方が迅速かつ確実に接種を受けられるよう、今後も万全な体制を確保する」としてワクチン接種に協力する考えを表明した。しかし、「ワクチンが確実に供給されなければ、接種の責務も果たせない」とし、政府に対して、十分かつ安定的なワクチンの供給を要請した。

【緊急要請】

１　首都圏をはじめ感染者が急増している地域に対し、早急に緊急事態宣言を発令すること。あわせて、緊急事態宣言の対象区域を全国とすることについても検討に入ること。

２　感染収束の目途がつくまで、徹底的かつ集中的にテレワークや直行直帰を推奨すること。

３　40歳から64歳までの方とリスクの高い疾患を有する方のワクチン接種を推進し、できるだけ早く完了させること。