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ホーム全日病ニュース(2021年)第1000回/2021年12月15日号オンライン診療の指針の改定案を了承

オンライン診療の指針の改定案を了承

オンライン診療の指針の改定案を了承

【厚労省・オンライン診療検討会】初診は「かかりつけの医師」が原則

 厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する見直しに関する検討会(山本隆一座長)は11月29日、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改定案を概ね了承した。初診からのオンライン診療は、「かかりつけの医師」が行うことを原則とする一方、「かかりつけの医師」以外でも医学的情報が十分把握でき、医師が可能と判断した場合には実施できるとの方針を示した。
 オンライン診療の適切な実施に関する指針は定期的に見直しを行うこととされている。今回の見直しでは、新型コロナの感染拡大を踏まえ、初診からのオンライン診療を可能とする特例的・時限的な対応が実施されている中で、恒久的な措置として、初診からのオンライン診療ができる条件などが課題となった。今回改定案を座長預かりで了承。修文した上で公表し、パブリックコメントを募集する予定だ。
 改定案では、初診からのオンライン診療は、原則として「かかりつけの医師」が行うこととした。「かかりつけの医師」は、「日頃より直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」と位置づけた。
 ただし、「かかりつけの医師」以外でも、既往歴や服薬歴、アレルギー歴などのほか、症状から勘案して問診・視診を補完するのに必要な医学的情報を過去の診療録や診療情報提供書、健康診断の結果などから把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合は、実施できることとしている。

「診療前相談」で必要性を判断
 「かかりつけの医師」以外の医師が、オンライン診療が可能であるかを判断できない場合は、映像を用いてリアルタイムのやりとりをする「診療前相談」を行い、相互に合意した場合にオンライン診療を実施する。診療前相談は、診断や処方などは含まない。
 オンライン診療を実施する場合は、「診療前相談で得た情報を診療録に記載する必要がある」。オンライン診療に至らなかった場合も、「診療前相談の記録は保存しておくことが望ましい」。
 診療前相談により対面診療が必要と判断され、ほかの医療機関で対面診療を行う場合は、診療前相談で得られた情報を必要に応じて適切に提供する。
 オンライン診療が困難な症状については、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」などを踏まえて医師が判断する。
 初診における医薬品の処方は、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」などの関係学会が定める診療ガイドラインを参考に行う。
 初診では、麻薬・向精神薬の処方や基礎疾患等の情報が把握できない患者への特に安全管理が必要な医薬品の処方、8日分以上の処方は行わない。
 オンライン診療後の対面診療については、「かかりつけの医師」がいる場合は、「オンライン診療を行った医師が『かかりつけの医師』に紹介し、実施することが望ましい」とした。一方、「かかりつけの医師」がいない場合は、「オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近隣の対面診療が可能な医療機関に紹介することも想定される」とした。

 

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