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ホーム全日病ニュース(2022年)第1003回/2022年2月15日号医学生が行う医行為の範囲に関し報告書案を概ね了承

医学生が行う医行為の範囲に関し報告書案を概ね了承

医学生が行う医行為の範囲に関し報告書案を概ね了承

【厚労省・医学生の医業の範囲検討会】患者の同意や指導医の質の担保などが課題

 厚生労働省の「医学生が臨床実習で行う医業の範囲に関する検討会」(中谷晴昭座長)は1月27日、医学生が臨床実習において行う医行為の範囲に関する報告書案をおおむね了承した。厚労省は議論を踏まえ、報告書案を修正した上で、政令を制定する考えだ。
 「医業」とは一般に「医行為を業として行うこと」であり、医師法17条では「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めている。しかし、昨年5月に医師法の改正が行われ、共用試験合格後の医学生は臨床実習において医師の指導監督の下、医業を行うことができることを明確化した。
 報告書案では、臨床実習での医学生の医行為は、◇侵襲性のそれほど高くない一定のものに限られること◇指導医による指導・監督の下に行われること◇臨床実習に当たり事前に医学生の評価を行うこと◇患者等の同意を得ること―の条件を満たす場合に行われるものとした。
 患者の同意は、「包括同意を取得し、侵襲的な行為の際は個別同意の取得も検討すべき」とした。医行為については、「各医学部の現場で指導監督を行う医師が、患者の状況と医学生の習熟度等を勘案して決定することが適当」であり、「診療科の特性や個々の大学の状況も踏まえながら管理体制を整備することが必要である」とする一方、処方箋の交付は政令で除くべき医行為とされた。
 議論では、患者の同意と指導医の質の担保が課題にあげられた。全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介委員は、一部の大学病院で口頭の包括同意がされていることに言及し、「口頭の包括同意は不明瞭なので控えるべきと報告書で示してほしい」と強調。東海大学法学部教授の柑本美和委員は、「患者の同意をきちんと得ることや安全性の確保が重要。最終的な責任は誰がとるのか、責任の所在を明確にすることを盛り込んでほしい」と述べた。
 日本医師会常任理事の橋本省委員は、「安全な指導のためには、指導医がある一定の水準であることを担保する必要がある。報告書で、水準に関する言及があってもよいのでないか」との意見を述べた。

 

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