全日病ニュース

2023年度臨床研修の定員に医師不足等による加算設ける

【厚労省・臨床研修部会】将来帰国する外国人留学生は別枠に

　医道審議会医師分科会医師臨床研修部会（國土典宏部会長）は１月26日、2023年度の臨床研修の募集定員の上限について、新型コロナの影響や医師不足の状況を踏まえて加算を設けることを了承した。
　新型コロナの影響を踏まえて、都道府県別募集定員上限の加算を、2021、2022年度と同様に行う。具体的には、2023年度の募集定員上限が2022年度の臨床研修病院の募集定員を下回る都道府県のうち、コロナの影響で調整が困難なために追加定員を希望する都道府県には、募集定員上限に５人を追加する。
　医師の偏在対策が必要な都道府県についても、条件を満たせば定員上限に最大10人を加算できるようにする。
　一方、同部会は、2023年度から臨床研修を行う外国人留学生について、都道府県別の募集定員の枠外で対応することを了承した。外国人留学生のうち、大学との覚書等により研修先の臨床研修病院が決定し、かつ、将来的に帰国する予定の学生に限り、マッチングによらずに採用できる。その際、各臨床研修病院の募集定員や都道府県の募集定員の上限に関係なく、研修医として受け入れることを認める。
　これは、国際医療福祉大学医学部を卒業する外国人留学生に配慮を求める声に対応して設けられた措置。同大は１学年20名を外国人留学生枠とし、2023年３月には一期生が卒業する予定だ。ただし、将来帰国する外国人留学生を都道府県定員の別枠とする措置は、国際医療福祉大学医学部の卒業生に限定されず、すべての大学医学部の外国人留学生が対象となる。
　一部の委員からは、外国人留学生を別枠とすることに対して慎重な意見も出された。同部会は、定員上限の別枠で臨床研修を行う留学生の状況を、今後、丁寧にフォローしていく必要があるとの認識で一致した。

来年度地域医療プログラム採用は９名
　同日の部会では、2022年度の地域医療重点プログラムの採用状況が厚生労働省から報告された。同プログラムは地域枠の学生に対し、一般のマッチングに先行して選考を行うもの。７府県の15病院に設置され、募集定員の総数は21名だったが、採用者は９名にとどまった。
　この９名のうち、マッチング前の採用が４名、マッチングによる採用が１名、二次募集による採用が４名。
　採用者が定員の半数にも満たない状況に対し全日病副会長の神野正博委員は、「制度の仕組みが悪いのか、あるいは周知が不足していたのか、評価する必要がある」と述べ、採用された研修医を対象にアンケート調査を行うことを提案した。これを受けて厚労省は、採用者へのアンケート調査を実施し、各府県の周知の状況などを調べる方針を示した。