全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1003回/2022年2月15日号「重症度、医療・看護必要度」をめぐり議論

「重症度、医療・看護必要度」をめぐり議論

「重症度、医療・看護必要度」をめぐり議論

【日病協・代表者会議】評価指標のあり方を日病協でも議論すべき

 日本病院団体協議会は1月28日に代表者会議を開いた。2022年度診療報酬改定における一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、必要度)の公益裁定の結果などをめぐり議論を行った。終了後の会見で、議長の日本リハビリテーション病院・施設協会の斉藤正身会長は、「それなりに納得しているとの意見が多かったと思うが、『心電図モニターの管理』の削除については、懸念が残る結果であるのも事実」と述べた。
 代表者会議では、急性期の患者像を判断している現行の「必要度」が適切な評価指標であるかについて、様々な意見が出たため、今後、評価指標のあり方について幅広く議論する必要があるとの意見が相次いだという。
 例えば、急性期の評価指標であることに着目すると、回復期や慢性期でも重症患者が入院しているが、状態の変化の頻度は少ないため、「『状態の変化』という時間軸を考慮した評価指標を考えることが重要」との意見が出た。その際に、DPC データなども用いて、診療報酬による医療資源投入量を患者の状態の変化に応じて把握していくことの必要性を指摘する意見も出た。
 なお、2022年度改定の答申書附帯意見では、「今回改定による影響の調査・検証を行うとともに、入院患者のより適切な評価指標や測定方法等、入院料の評価のあり方等について引き続き検討すること」と明記されている。
 ただ、診療報酬改定が2年に1度であり、厚生労働省人事もそれに合わせて動いているので、抜本的な見直しを行うことが厚労省では難しいという指摘もあり、日病協で中長期的な観点で、抜本的な見直しの議論を行うことを検討すべきとされた。
 また、今回の「必要度」の見直しでは、200床未満の病院に対する該当患者割合を引き下げる配慮がなされている。一方で、治療室を有し、手術や救急の実績のある急性期医療をより評価していくとの方向性も明確になっている。
 200床以上と200床未満の病院で、急性期医療の評価を分けていくという方針がある中で、高齢者救急を担う中小病院のあり方を含め、地域の医療提供体制を担う主体の位置づけの議論があわせて重要であるとの認識も共有した。

薬剤師も収入引上げの対象とすべき
 2021年度補正予算による看護職員などへの収入引上げが2月から実施される。対象医療機関は2・3月に都道府県に申請を行う必要があるため、厚労省担当者から説明があった。
 補助金額は、対象医療機関の看護職員(常勤換算)1人当たり月額平均4,000円の賃金引上げに相当する額となっている。4,000円の賃金引上げに伴う社会保険料の事業主負担の増加分も含む。対象職種は、看護師、准看護師、保健師、助産師とし、医療機関の判断により、看護補助者、理学療法士・作業療法士などのコメディカルの賃金改善に充てることが可能である。
 ただ、薬剤師は対象となっていない。薬剤師は、医師・歯科医師と同じく看護師より賃金が高いため、対象外になっていると厚労省担当者は説明したが、病棟薬剤師に限れば、看護師とほぼ同じ賃金水準であり、見直しの検討を申し入れることを、代表者会議で決めた。
 あわせて、病院では様々な職種の人が働いており、不公平感が出ないように対応し、説明するのは大変であり、看護職員の収入が、必ずしも月額4,000円の引上げになるわけではないことを含め、厚労省には、丁寧な周知を求めることにした。また、対象となる医療機関は、病院全体の3分の1程度に過ぎないことの周知も必要であることを強調する意見もあった。

 

全日病ニュース2022年2月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 事 業 報 告 書 決 算 報 告 書

    https://www.ajha.or.jp/about_us/plan/kessan_h22.pdf

    調査研究活動では、診療アウトカム調査事業、DPC分析事業、病院経営調査、4 疾 ... 第 52 回全日本病院学会は、兵庫県支部・西支部長を学会長として、10 月 10、11 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。