全日病ニュース

オンライン診療の実施に関する指針を改訂

【厚生労働省】初診からのオンライン診療は「かかりつけの医師」が原則

　厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改訂し、１月28日付で都道府県知事に通知した。初診からのオンライン診療を認め、そのための手順や留意事項を示している。
　「オンライン診療の適切な実施に関する指針」（以下、指針）は、2018年３月30日の医政局長通知で示され、定期的に見直しが行われている。前回の見直しは2019年７月。見直しに当たった「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」（山本隆一座長）は、昨年11月に検討結果をまとめ、パブリックコメントの手続きを経て新たな指針として示された。
　現在、オンライン診療は、新型コロナウイルスの流行拡大を受けて、時限的・特例的措置によって初診からのオンライン診療が認められている（2020年４月10日・事務連絡）。検討会では、特例的措置の実施状況を踏まえ、その恒久化に向けて検討した。
　新たな指針は、初診からのオンライン診療について、「かかりつけの医師」が行うことが原則であると明記した。ただし、医学的情報が十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合にも、オンライン診療を実施できるとしている。
　「かかりつけの医師」以外が、初診からのオンライン診療を行おうとするときは、「診療前相談」を行う。「診療前相談」は、医師－患者間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い、医師が患者の症状及び医学的情報を確認する行為。適切な情報が把握でき、医師・患者双方がオンラインでの診療が可能であると判断し、相互に合意した場合にオンライン診療を実施することができる。オンライン診療を実施する場合においては、診療前相談で得た情報を診療録に記載する必要がある。オンライン診療に至らなかった場合にも診療前相談の記録は保存しておくことが望ましい。診療前相談は、診断、処方その他の診療行為は含まない。
　「かかりつけの医師」以外が初診からのオンライン診療を行うのは、◇かかりつけの医師がオンライン診療を行っていない場合や、休日夜間等でオンライン診療に対応できない場合、患者にかかりつけの医師がいない場合、◇かかりつけの医師が専門的な医療等を提供する医療機関に紹介する場合や、セカンドオピニオンのために受診する場合―が想定されるとしている。
　また、オンライン診療は、直接の対面診療を適切に組み合わせて行うことが原則であるとしている。
　オンライン診療後に対面診療が必要な場合は、◇「かかりつけの医師」がいる場合には、オンライン診療を行った医師が「かかりつけの医師」に紹介し、「かかりつけの医師」が実施することが望ましい◇「かかりつけの医師」がいない場合は、オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近隣の対面診療が可能な医療機関に紹介することも想定される―としている。
　安全にオンライン診療が行えることを確認するため、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえて医師が判断し、オンライン診療が適さない場合は対面診療を実施する。
　オンライン診療では、初診から安全に処方できない医薬品がある。処方は「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の診療ガイドラインを参考に行うこととし、以下の処方は行わないとしている。
◇麻薬および向精神薬の処方
◇基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品（診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤）の処方
◇基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する８日分以上の処方