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ホーム全日病ニュース(2022年)第1008回/2022年5月1日号入院基本料や特定入院料等の疑義解釈示す

入院基本料や特定入院料等の疑義解釈示す

入院基本料や特定入院料等の疑義解釈示す

【2022年度診療報酬改定】加算では急性期充実体制加算や看護補助体制充実加算などの質問に回答

 厚生労働省は3月31日に、2022年度診療報酬改定の疑義解釈(その1)を示している。3月15日号では、医科診療報酬の一部を掲載したが、今回は前回掲載分の項目を除いた入院基本料や特定入院料等の疑義解釈を紹介する。なお、4・5頁には、資料として、感染対策向上加算等を整理した。疑義解釈は今回が第一弾であり、すでに厚労省から4月21日時点で(その6)までの事務連絡が示されている。

療養病棟入院基本料等
 療養病棟入院基本料の注1の「中心静脈栄養を実施している状態にある者の摂食機能または嚥下機能の回復に必要な体制が確保されている」について、「摂食機能または嚥下機能の回復に係る実績を有している必要はあるか」との質問があった。これに対しては、「必ずしも実績を有している必要はないが、中心静脈栄養を実施している患者については、嚥下機能に係る検査等の必要性等を定期的に確認すること」との回答があった。
 療養病棟入院基本料の注11について、入院中の患者であって、疾患別リハビリテーション料を算定するものに対して、「1月に1回以上、FIMの測定を行っていない場合には、当該患者に係る疾患別リハビリテーション料のうち、1日につき2単位を超えるものは、当該入院基本料に含まれることとされているが、『1月に1回以上』とは、暦月に1回以上のことを指すのか」との質問があった。これに対しては、「そのとおり」との回答だった。
 療養病棟入院基本料の注11に規定する点数を算定する患者について、「疾患別リハビリテーション料の標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを行う場合も、FIMの測定に係る規定は適用されるか」との質問にも、「そのとおり」との回答となっている。
 療養病棟入院基本料の注11について、「『診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第54号)による改正前の(中略)なお従前の例による』、『令和4年3月31日において現に療養病棟入院基本料に係る届出を行っている保険医療機関については、令和4年9月30日までの間に限り、FIMの測定を行っているものとみなす』」こととされているが、注11に規定する点数の適用について、どのように考えればよいか」との質問があった。回答は、「令和4年4月1日より、改正後の点数(100分の75に相当する点数)を算定する」とした。
 療養病棟入院基本料および回復期リハビリテーション病棟入院料について、脳血管疾患等により療養病棟入院基本料を算定する病棟に入院している患者が、2020年3月31日以前から回復期リハビリテーションを要する状態に該当しており、2020年4月1日以降に回復期リハビリテーション病棟に転棟した場合においては、留意事項通知により、「医療上特に必要がある場合に限り回復期リハビリテーション病棟から他の病棟への移動が認められる」こととされているが、患者が脳血管疾患等を有することをもって、「医療上特に必要がある場合」に該当するものとして、「再度療養病棟入院基本料を算定する病棟に転棟させることは可能か」との質問があった。
 これに対しては、「同一保険医療機関の療養病棟に再度移動させることは、原則として認められない」とした。

看護補助体制充実加算
 看護補助体制充実加算の施設基準における看護補助者および看護職員の研修受講者の氏名について、「届出の際に提出する必要があるか」との質問があった。これに対しては、「必ずしも提出する必要はないが、求めに応じて提出できるよう保険医療機関内に控えておくこと」との回答があった。
 看護補助体制充実加算の施設基準における看護職員に対して実施する院内研修について、①実施時間数や実施方法はどのようにすればよいか②常勤の看護職員及び非常勤の看護職員のいずれも受講する必要があるのか─との質問があった。①に対しては、「日本看護協会「看護補助者との協働のための研修プログラム」(2022年3月)を参考」、②に対しては、「いずれも受講する必要がある」との回答があった。

急性期充実体制加算
 急性期充実体制加算について、「入院した日とは、当該患者が当該加算を算定できる病棟に入院または転棟した日のことをいう」とあるが、急性期一般入院料1を算定する病棟に入院後、当該加算を算定できない病棟または病室に転棟し、再度急性期一般入院料1を算定する病棟に転棟した場合、起算日についてどのように考えればよいか」との質問があった。これに対しては、「急性期一般入院料1を算定する病棟に最初に入院した日を起算日とする」との回答があった。
 急性期充実体制加算の施設基準における「緊急手術」の定義である「病状の急変により緊急に行われた手術」について、①「病状の急変」は入院外での急変に限定されるか②休日に行われる手術またはその開始時間は、保険医療機関の表示する診療時間以外の時間もしくは深夜である手術に限定されるか③病状の変化により手術予定日を早めた場合も対象になるか─との質問があった。
 回答は、①に対しては「限定されない」とした。②に対しては「限定されない。手術の実施日および開始時間にかかわらず、患者の病状の急変により緊急に行われた手術であれば、緊急手術に該当し、保険医療機関または保険医の都合により行われた場合は該当しない」とした。③に対しては、「各病院において「手術が緊急である」と判断される場合にあっては対象として差し支えないが、手術実施の判断から手術開始までの時間が24時間を超える場合は緊急手術に該当しない」とした。
 急性期充実体制加算の施設基準において、「承認され、登録されている全てのレジメンのうち、4割以上のレジメンが外来で実施可能であること」とされているが、外来で実施可能なレジメンについて、外来で実施されている実績は必要か」との質問があった。
 これに対しては、「外来で実施可能なレジメンについては、必ずしも実施されている実績は必要ないが、外来で実施可能なレジメンの対象となる患者に対しては、外来での化学療法の実施方法についても説明を行うこと。また、外来で実施可能なレジメンの一覧については、手術件数等とあわせて院内に掲示すること」との回答があった。
 急性期充実体制加算の施設基準において、「急性期一般入院料1に係る届出を行っている病棟については、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いて評価を行っていること」とされているが、救命救急入院料、特定集中治療室管理料または脳卒中ケアユニット入院医療管理料を算定する病棟または病室についてはどのように考えればよいか」との質問があった。
 これに対しては、「急性期一般入院料1に係る届出を行っている病棟以外の病棟については、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰまたは特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度Ⅰを用いて評価を行っても差し支えない」との回答があった。
 「許可病床数が200床以上400床未満の保険医療機関において、令和4年3月31日時点で現に急性期一般入院料1を届け出ている病棟については、令和4年12月31日までの間に限り、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いた評価に係る基準を満たしているものとみなすこととされているが、急性期充実体制加算の施設基準における『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱ』を用いて評価を行っていること」について、どのように考えればよいか」との質問があった。
 これに対しては、「当該加算の届出を行う保険医療機関にあっては、届出時点において当該基準を満たしている必要がある」との回答があった。
 急性期充実体制加算の施設基準において求める「入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制」に係る「所定の研修」には、具体的にどのようなものがあるか」との質問があり、以下の研修が示された。
①一般社団法人日本集中治療医学会「Rapid Response System 出動スタッフ養成コース(日本集中治療医学会認定ハンズオンセミナー)」
②SCCM( 米国集中治療医学会)「FCCS(Fundamental Critical CareSupport)」
③一般社団法人医療安全全国共同行動「RRS セミナー〜急変時の迅速対応とRRS」
 急性期充実体制加算の施設基準において「日本医療機能評価機構が定める機能評価を受けている病院または当該評価の基準と同等の基準について第三者の評価を受けている病院」とあり、「第三者の評価」に該当するものは何かとの質問に対しては、以下を示した。
① J C I ( J o i n t C o m m i s s i o nInternational)の「大学医療センター病院プログラム」または「病院プログラム」
②ISO(国際標準化機構9001)の認証
 急性期充実体制加算の施設基準における「特定の保険薬局との間で不動産取引等その他の特別な関係がない」ということについて、何を指すのかとの質問には、「調剤点数表の特別調剤基本料における考え方と同様である」との回答があった。具体的には、「保険医療機関が当該保険薬局と不動産の賃貸借取引関係にある場合」など4つの条件に該当しない場合となっている。
 急性期充実体制加算の施設基準において、「毎年7月において、前年度における手術件数等を評価するため、別添7の様式14により届け出るとともに、院内に掲示すること」とされているが、具体的にはどのような内容を院内に掲示する必要があるか」との質問があった。これに対しては、別添7の様式14の「2」のうち、次に掲げる項目の実績および体制等を、院内の見やすい場所に掲示する必要があるとした。◇手術等に係る実績◇外来化学療法の実施を推進する体制◇24時間の救急医療提供◇入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制◇外来縮小体制◇退院に係る状況等◇禁煙の取扱い─。
 急性期充実体制加算の施設基準における「入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制」に係る「年2回程度の院内講習の開催」について、医療安全対策加算における医療安全対策に係る体制を確保するための職員研修とあわせて実施することは可能か」との質問には、「可能」との回答があった。

特定集中治療室管理料
 特定集中治療室管理料1・2の施設基準において求める看護師の「集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修」には、具体的にはどのようなものがあるか」との質問には以下のように回答した。
 現時点では、以下の研修が該当。
① 日本看護協会の認定看護師教育課程「クリティカルケア」、「新生児集中ケア」、「小児プライマリケア」
② 日本看護協会が認定している看護系大学院の「急性・重症患者看護」の専門看護師教育課程
③ 特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる研修(以下の8区分の研修を全て修了した場合に限る)
・「 呼吸器(気道確保)関連」
・「 呼吸器(人工呼吸療法)関連」
・「 栄養および水分管理に係る薬剤投与関連」
・「 血糖コントロールに係る薬剤投与関連」
・「 循環動態に係る薬剤投与関連」
・「 術後疼痛管理関連」
・「 循環器関連」
・「 精神および神経症状に係る薬剤投与関連」
④ 特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる以下の領域別パッケージ研修
・ 集中治療領域
・ 救急領域
・ 術中麻酔管理領域
・ 外科術後病棟管理領域

地域包括ケア病棟入院料
 地域包括ケア病棟入院料の施設基準において、「許可病床数が200未満の保険医療機関の一般病床において、地域包括ケア病棟入院料または地域包括ケア入院医療管理料を算定する場合にあっては、ウ又はエについては、当該保険医療機関内に救急外来を有していること又は24時間の救急患者を受け入れていることにより当該基準を満たすものとみなすものであること」とあるが、「当該保険医療機関内に救急外来を有していること」とは、当該保険医療機関が「救急医療対策事業実施要項」(昭和52年7月6日医発第 692号)に定める「救命救急センター」である必要があるということか」との質問があった。
 これに対しては、「救命救急センターである必要はなく、当該保険医療機関内に救急患者を受け入れる外来が設置されていればよい」との回答があった。

 

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