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一般病院と療養型病院で今年３月の医業収益のＤＩが改善

【福祉医療機構】四半期ごとの病院経営動向調査の結果

　福祉医療機構（中村裕一理事長）は４月１日、2022年３月の四半期ごとの病院経営動向調査の結果を公表した。DI（景気動向指数）による最近の医業収益は、一般病院が13（３カ月前の2021年12月と比べ、４ポイント上昇）、療養型病院が20（同12ポイント上昇）、精神科病院がマイナス33（同21ポイント低下）で、一般病院と療養型病院では改善がみられた。
　DI は各調査項目について、「増加」「横ばい」「減少」の中から一つを選んでもらうなど、「最近」と「先行き」の定性的な評価を集計することを目的としている。医業収益については、「増加」の回答割合から「減少」の回答割合を差し引いて算出している。
　調査は、336施設の病院（253法人）を対象に調査し、病院の回答は235（有効回答率69.9％）、医療法人の回答は144（同67.9％）となっている。
　一般病院の医業収益のDI は、主に新型コロナの影響で、2020年３月以降、大幅に下落しその後持ち直した後、再び下落するなど乱高下したが、１年前の2021年３月から改善傾向が続いている。ただ、今後の予測は、新型コロナの第７波の到来も懸念され、不透明な状況だ。
　療養型病院も似た傾向にあるが、2021年12月調査でも下落していた。精神科病院は乱高下の頻度がより激しく、今回は2021年12月調査で一度上昇した後の急低下となっている。
　医業収支（黒字・赤字）のDI は、一般病院が11（同５ポイント上昇）、療養型病院が28（同９ポイント低下）、精神科病院が10（同13ポイント低下）。
　資金繰りのDI は、一般病院がマイナス４（同１ポイント上昇）、療養型病院が６（同６ポイント上昇）、精神科病院がマイナス28（同９ポイント低下）である。今後の見通しの悪さと歩調を合わせ、一般病院でもマイナスとなっている。
　最近の従業員数過不足は、一般病院がマイナス36（同６ポイント低下）、療養型病院がマイナス41（同１ポイント低下）、精神科病院がマイナス53（同16ポイント低下）で、どの病院類型でも大きなマイナスであり、不足している。特に、最近の医師の確保は、一般病院がマイナス61、療養型病院がマイナス50、精神科病院がマイナス60で、マイナス幅がさらに大きくなる。
　人件費の増減は、増加した病院の割合から減少した病院の割合を差し引いた数字で、一般病院が49、療養型病院が57、精神科病院が25となっており、上昇している。残業時間も、一般病院が16、療養型病院が７、精神科病院が10で上昇している。
　これらの状況を背景に、経営の課題についての回答では、前回に引続き「人件費の増加と職員確保難」をあげる声が多かった。
　また、医療法人としてのDI をみると、事業収益は８（同２ポイント上昇）、事業収支は26（同１ポイント上昇）、資金繰りはマイナス１（同１ポイント上昇）、従業員数はマイナス44（同７ポイント低下）となっている。

半数近くが年度見込みで収益増
　2021年度（2021年４ 月～ 2022年３月）の医業収益などの見込みも示した。2021年度の医業収益が、2020年度と比べ、増加すると見込んだ病院は、全体で47.2％と半分近くを占めた。横ばいは38.3％となっている。2019年度との比較でも、34.5％の病院が増加すると回答している。
　一般病院の2021年度の医業収益は、新型コロナ患者を受け入れている一般病院の53.4％、受けて入れていない病院の52.6％が、2020年度と比べ、増加すると回答した。療養型病院では46.3％が、精神科病院では27.5％が、増加すると回答した。

新型コロナへの対応状況
　新型コロナへの対応では、３月１～23日における回答時点で、新型コロナ患者を受け入れたことのある病院は、一般病院が73.0％、療養型病院が35.2％、精神科病院が27.5％となっている。
　このうち、回答日時点で「受入中」であったのは、一般病院が中等症以上43.3％、軽症等14.9％、療養型病院が中等症以上5.6％、軽症等14.8％、精神科病院が中等症以上2.5％、軽症等10.0％であった。今後の予定を含め受入れのない病院は、一般病院が27.0％、療養型病院が59.3％、精神科病院が62.5％となっている。