全日病ニュース
第2期循環器病対策推進基本計画の議論開始
第2期循環器病対策推進基本計画の議論開始
【循環器病対策推進協議会】感染拡大時でも機能を維持できる体制が課題
厚生労働省の循環器病対策推進協議会(永井良三座長)は7月29日、国の第2期循環器病対策推進基本計画の策定に向けた議論を開始した。同日は、厚労省が、計画策定に当たっての基本的な考え方を示した。秋以降に、本格的な議論が行われる予定だ。
国の基本計画を踏まえて策定する都道府県の第2期循環器病対策推進計画を2024年度から開始するには、国の第2期基本計画を2023年度までに策定する必要がある。2024年度から6年間が計画期間である都道府県の第8次医療計画などとの調和を図るためだ。
ただ、多くの都道府県は、第1期の計画を2021年度内に策定しており、策定から間もない。このため、第2期基本計画は、第1期基本計画の大枠を維持し、現下の状況を踏まえて必要な修正を加えるとの方針となった。
その上で、第2期に向けた基本的な考え方として3点が示された。具体的には、①循環器病に係る指標の更新②関係する諸計画との連携③感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備。
循環器病に係る指標の更新については、厚生労働科学研究費補助金による研究結果(研究代表者=平田健一・神戸大学大学院教授)の報告があった。現状の指標について、「回復期以降では、脳卒中・心臓病等に特異的ではない指標が数多くある」、「緩和ケアなど、重要と思われても定義があいまいな項目がある」、「個別施策として記載されていても、対応する指標が記載されていないものがある」などが指摘された。
関係する諸計画との連携については、第8次医療計画に加え、同様に2024年度から新たな計画となる第9期介護保険事業計画と連携した内容とすることが求められた。
感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備については、以下の3点を踏まえるべきとされた。
1つ目は、新型コロナの感染拡大で、救急患者のCCU(冠疾患集中治療室)への受入れ病院の応需率の低下や転院先の調整困難など循環器病の診療体制に逼迫が生じたことである。
2つ目では、将来の感染症の到来に備え、感染拡大時でも救急患者を受け入れる機能が維持できるような地域の医療体制の整備が必要だとしている。
3つ目では、「地域における医療機能の分化・連携に向けた取組みを進める上で、平時においても急性期病院のみに患者が集中しないよう、回復期や慢性期の病院との、循環器病の特徴を踏まえた効率的な役割分担のあり方等について検討することが重要」とした。
全日病副会長の美原盤委員は、感染拡大時の医療機関の役割分担について、新興感染症対応を行う医療機関と通常医療を支える医療機関の役割分担が必要と指摘した。また、医療機能の分化・連携は、急性期など医療機能別だけでなく、代表的な疾患別に行わないと対応できない場合があることを示した。
また、新型コロナの経験を踏まえた新たな公立病院経営強化ガイドラインで、「基幹病院以外の(公立)病院等は回復期機能・初期救急等を担う」との考えが示されたことに対し、「地域医療構想の考え方と違う」と指摘。「公立・公的病院は、民間病院が代替できない機能を担うという本来の考え方に基づくべき」と述べた。
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