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ホーム全日病ニュース(2023年)第1035回/2023年7月1日号猪口雄二会長が4期目 5名の副会長も続投

猪口雄二会長が4期目 5名の副会長も続投

猪口雄二会長が4期目 5名の副会長も続投

【第11回定時総会】「当面の大変な時期を現有戦力で乗り切る。会長は今期まで」猪口会長

 全日本病院協会は6月17日に第11回定時総会を開き、次期役員を選任するとともに、会長等選定理事会で、4期目となる猪口雄二会長の続投を決めた。織田正道副会長、美原盤副会長、神野正博副会長、安藤高夫副会長、中村康彦副会長の5名も続投する。猪口会長は、「2024年度にかけて、本当にいろいろなことが起きる。来年春を乗り切るには、現有戦力を変えないほうがよいと考えた」と状況を説明。その上で、4期を最後に、会長職を辞する意向を示した。
 20名の常任理事には、大橋正實氏(北海道)、徳田禎久氏(北海道)、細川吉博氏(北海道)、猪口正孝氏(東京都)、木村厚氏(東京都)、須田雅人氏(神奈川県)、山本登氏(神奈川県)、甲賀啓介氏(静岡県)、今村康宏氏(愛知県)、加納繁照氏(大阪府)、西昂氏(兵庫県)、宮地千尋氏(兵庫県)、大田泰正氏(広島県)、田蒔正治氏(徳島県)、津留英智氏(福岡県)、中尾一久氏(福岡県)、井上健一郎氏(長崎県)、山田一隆氏(熊本県)、池井義彦氏(宮崎県)、牧角寛郎氏(鹿児島県)が就いた。
 このうち、静岡県の甲賀啓介氏は新任。猪口会長は、「常任理事の中で一番若い先生で、昨年の全日本病院学会in静岡の実行委員長であり、学会を上手にそして力強く運営して頂いた」と紹介した。
 また、会長が欠けたとき等に理事会を招集する理事は中村副会長となっている。

この2年で次の体制に向け議論
 猪口会長は会長就任の挨拶で、「(執行部が)何も変わっていないとの指摘もあると思うが、これには理由がある。2024年度は医療・介護・福祉の報酬のトリプル改定があり、医師の時間外労働規制も施行される。地域医療構想は2025年を目標年としてきたため、2025年以降の新たな構想も考えないといけない。第8次医療計画も2024年度に始まる。医療計画の6事業目に位置付けられた新興感染症対応の取組みもある。あまりに多くのことがあり、いろいろな会議体も動いており、簡単に進められる仕事ではない。何とか来年の春を乗り切るには、現有戦力を変えないほうがよいと考えた」と説明した。
 その上で、「会長職は4期目だが、今期で終わりにする。いつまでも同じ人間が会長をやるのは、組織の新陳代謝を図る上で、よくない。この2年間で次の体制に向けた議論を行わないといけない」と述べた。今後、全日病として、「大変な2024年度を乗り切るために、会員にはもれなく必要事項を伝達し、執行部として、さまざまな問題に対応していきたい」との姿勢を強調した。
 また、猪口会長は、定時総会の冒頭挨拶で、6月16日に閣議決定された政府の経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太方針)に触れ、今後の見通しを伝えている。
 骨太方針2023では、トリプル改定について、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」と明記された。物価高騰・賃金上昇などの影響を踏まえ、「必要な対応を行う」との文言になり、少子化対策の財源確保のために、医療費を抑制するとの文言は盛り込まれなかった。
 背景には、介護団体を含め、四病院団体協議会や日本医師会が協力して、政府・与党に働きかけた結果であるとして、関係者に謝意を表した。
 一方で、「我々としては、社会保障費の底上げをお願いしたいが、これから年末に向けて、どのような動きが出てくるかということが重要になる。引き続き努力していきたい」と述べた。

羽生田議員と自見議員が来賓
 来賓として、羽生田たかし参議院議員(厚生労働副大臣)、自見はなこ参議院議員(内閣府大臣政務官)が出席した。松本吉郎・日本医師会会長からはビデオメッセージが送られた。
 松本日医会長は、「最近の医療情勢をめぐって、様々な困難があったが、全日病の力もあり、乗り切ることができた。猪口会長は日医副会長でもあり、物価・賃金高騰に対応したトリプル改定とするための要望でも、医療・介護団体をまとめるにあたり、指導力を発揮され、尽力頂いた。トリプル改定に向けては、より一層協力して取り組みたい」と述べた。
 羽生田参院議員は、医師の働き方改革に言及。「皆さんは病院であるため、必ず、基本となる年960時間のA水準、年1,860時間の地域医療確保暫定特例水準のB水準、年1,860時間の集中的技能向上水準のC水準のいずれかを選ばないといけない。A水準であれば、手続きは少なくて済むかもしれないが、勤務医の労働時間の管理が重要になる。三六協定を結んだことのない病院も少なくないと考えられ、時間外労働規制の施行に向けては、これまで経験がなかった取組みで、大変だと思う。勤務環境改善支援センターが都道府県に設置されているので、活用し、何とか勤務環境を改善してほしい。また、そのような取組みに見合う報酬改定を求めないといけない」と、2024年度に向けた準備をお願いした。
 自見参院議員は、骨太方針2023にも盛り込まれた政府のこども未来戦略会議の少子化対策の財源について説明した。
 少子化対策の財源は、「(2028年度までの)今後6年間は税財源を用いず、歳出改革等を行った結果として、生み出される財源を用い、実質的な国民負担を求めない」という整理になったことを伝えた。しかし、「これを実現する上で、こども未来戦略方針や骨太方針2023に書いてあることではわからないことがたくさんある。もう少し我々寄りの文章を書き込みたかったが、岸田総理の判断があった」とした。
 結論的には、年末の予算編成に先送りされたということであり、「年末までが本当に大事な期間になる」と述べるとともに、自見参院議員自身が、「少子化対策の財源確保と社会保障の歳出改革の間で、板挟みになる」という難しい立場にいることを明かした。

2022年度決算を承認
 定時総会の報告事項としては、織田副会長が2022年度事業報告を行った。決議事項としては、中村副会長が2022年度決算案を説明し、承認された。2022年度決算は、経常収益が6億8,639万円、経常費用が6億8,964万円で、325万円の赤字となった。


左から中村副会長、神野副会長、織田副会長

左から猪口会長、美原副会長、安藤副会長

 

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