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ホーム全日病ニュース(2023年)第1035回/2023年7月1日号かかりつけ医機能を評価する診療報酬を議論

かかりつけ医機能を評価する診療報酬を議論

かかりつけ医機能を評価する診療報酬を議論

【中医協総会】24時間対応は地域密着型病院との連携で確保

 中医協総会(小塩隆士会長)は6月21日、2024年度診療報酬改定に向け「外来」をテーマに議論した。対象となった項目は、「かかりつけ医・医療機関連携」、「生活習慣病対策」、「外来機能の分化の推進」、「オンライン診療」。医療DXの推進を含め、紹介状なしで受診する場合に定額負担を求める病院に紹介受診重点医療機関が加わったことや、かかりつけ医機能の制度整備を含む改正健保法が先の通常国会で成立するなど、外来を取り巻く状況は変化している。ただ、次期改定でこれらにどこまで対応するかはまだみえない。
 日本医師会常任理事の長島公之委員は、「かかりつけ医機能の制度整備については、今後の議論で方向性が明らかになる」と指摘し、現時点では、これまでのかかりつけ医機能の評価の検証を行うことが重要との考えを示した。また、糖尿病治療に医科歯科連携が効果があるなど、エビデンスを積み上げていくことが必要であると強調した。
 一方、健康保険組合連合会理事の松本真人委員は、「2022年度改定ではかかりつけ医機能の議論が十分にできなかった。しかし、今回は、かかりつけ医機能の方向性が示されたので、議論を進められる」と主張した。その上で、24時間対応を可能とする医療機関連携や介護サービスとの連携などを、かかりつけ医機能の評価としてあげた。
 また、特定疾患療養管理料を含め、専門性の高い生活習慣病の管理と、かかりつけ医機能の評価の位置づけを整理することを求めた。
 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、「一人医師の診療所では、かかりつけ医機能を発揮できない場合がある。地域密着型病院を活用し、地域としてかかりつけ医機能を発揮することが大事だ」と述べた。
 外来機能の分化については、「入院は地域ごとに違いがあるが、今後、外来はほとんどの地域で減少する。それでも今は、基幹病院でも外来に経営を頼っている病院がある。働き方改革という意味も含め、外来機能の分化を推進する意義がある」とした。
 医療DXについては、全国医療情報プラットフォームによる医療や介護、健康情報の関係者間での情報共有が進めば、かかりつけ医機能の情報連携に、技術的な変化を与える。利便性や費用の軽減にもつながると予想される。ただ、長島委員は、「当面は、従来からある地域の医療介護連携ネットワークや紙での情報伝達と併存させることも一つのやり方」と指摘した。池端委員は「医療DXで医療費削減を目指せば医療が歪む」との懸念を示した。

 

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