全日病ニュース

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猪口雄二氏を新会長に選出

猪口雄二氏を新会長に選出

【第5回定時・臨時総会】
新任の副会長に中村康彦氏、常任理事の新任は3名

 全日本病院協会の新たな会長に猪口雄二副会長が就任した。6月17日の第5回定時総会で承認した55名の理事の中から、猪口副会長を会長に選出。第5回臨時総会に報告した。猪口新会長は、「医療界に大変大きな動きがあるが、地域により、状況は全く違う。各支部の意見を本部に集約して意見発信するシステムを作り上げたい。そのために全力投球する」と抱負を語った。
 副会長(5名)には、安藤高朗氏(東京)、神野正博氏(石川)、織田正道氏(佐賀)、美原盤氏(群馬)が続投し、中村康彦常任理事(埼玉)が新たに加わった。常任理事(20名)は、大田泰正氏(広島)、田蒔正治氏(徳島)、津留英智氏(福岡)が新任となった。
 西澤前会長は、常任理事に選出されるとともに、名誉会長に推薦された。
 議長は木村佑介氏(東京)、副議長は宮城敏夫氏(沖縄)が続投する。また、顧問・参与・名誉会員も承認された。

地域の意見を集約して情報発信、強い全日病つくる

 猪口新会長は、西澤前会長の就任時の2007年に副会長に選出され、その後、全日病の医療保険・診療報酬委員会をはじめ、四病院団体協議会、日本病院団体協議会で、特に診療報酬に関連する委員会で、中心的な役割を担ってきた。厚生労働省の中央社会保険医療協議会の委員でもある。
 臨時総会で挨拶した猪口会長は、全日病の理念を確認した上で、医療界を取り巻く現況と全日病の今後の取組みについて考えを述べた。まず、「約2,500の会員病院の多くが民間の中小病院で、地域の事情は全く異なる。各病院がそれぞれの地域の特性の中で活躍するために、地域の意見を吸い上げてより強い全日病を作りたい」と述べ、全国の病院の一致団結が重要であると強調した。
 医療界を取り巻く環境が、「ものすごく動いている」と指摘し、地域医療構想を含む医療計画、医療・介護同時改定、新専門医制度、働き方改革に言及した。地域医療構想に対しては、骨太方針2017が地域医療構想調整会議に関して、「2年間程度で集中的な検討を促進する」と明記したことに懸念を示した。同時改定に関しては、中医協委員として、「第一義的に頑張る」と表明。法案が成立した介護医療院の詳細も注視する姿勢を示した。
 働き方改革は「病院に勤務する医師の働き方を根底から変える可能性がある」と述べ、消費税については控除対象外消費税の問題とともに、社会保障の財源確保の観点から、さらなる先送りを警戒した。様々な動きがある中で、「地域包括ケアシステムの構築という目的は決定されている」とし、地域の病院がどう参画するかが重要であるとした。
 具体的な取り組みとして、「副会長、常任理事、理事に分担して作業してもらい、地域の意見を集約して、常任理事会などで議論し、全日病として発信するシステムを早急につくりたい」と提案した。最後に、「茨の道かもしれないが、幸い体は丈夫。役員一丸となって、新しい医療をつくるよう努力する」と締めくくった。
会員数のさらなる増加を期待

 第5回臨時総会で、西澤前会長が挨拶した。
 5 期10年にわたる会長職の職務の中で、共に全日病を支えた会員に謝意を表するとともに、新執行部を激励した。「10年の節目でやめることになった。佐々英達元会長からつないできた全日病の理念に基づき、さらに活動を広げることを期待している」と述べた。
 西澤前会長の就任時の2007年は、前年度に過去最大の引下げとなった診療報酬改定があり、翌年度は後期高齢者医療制度の発足や療養病床の再編が始まるなど、医療費抑制政策が吹き荒れる中で、医療保険・医療制度の大改革が行われた時期だった。だがその後、医療崩壊を訴える現場の声が高まり、政権交代を経て、強硬な医療費抑制方針は後退した。そのような変化の中で、全日病が果たした役割は大きい。
 2007年度初めに約2,200だった会員数は2017年5 月末時点で2,499と約2,500会員となった。西澤前会長は、会員数がさらに増えることを期待した。
2016年度の事業報告と決算の承認
 第5回定時総会では、2016年度事業報告が報告されるとともに、2016年度決算案を承認した。来賓では、日本医師会の中川俊男副会長、東京都医師会の尾﨑治夫会長、武見敬三参議院議員、羽生田俊参議院議員が挨拶した。
 2016年度事業報告では、①医療制度その他病院に関連する諸制度の調査研究・提言、政府等との連絡協議②病院の改善向上に関する調査研究・提言③医師その他病関係職員のレベル向上に関する教育研修・検定・普及啓発─の項目に沿った事業の報告があった。無料職業紹介事業の体制整備では、2017年度からベトナムの介護職の外国人技能実習生の受入れを計画する。
 2017年度決算については、経常収益が6億6,558万円、経常支出が6億6,415万円で143万円の黒字。2017年度の特徴としては、①遊休財産超過対策として、内部留保を公益目的保有特定資産に計上(9,000万円)②熊本地震の義援金(2,300万円)③外国人技能実習生受入れ事業への指定寄付金(2,000万円)がある。
佐々木地域医療計画課長が講演
 その後開かれた支部長・副支部長会議では、厚労省医政局の佐々木健地域医療計画課長が、今後の医療提供体制をテーマに講演した。地域医療構想を中心に、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステム構築に向けた政策を説明した。病床機能報告制度については、医療機関が自ら選んでいる医療機能と実際に提供している医療の内容の整合性を高めるため、「より洗練させる」と述べた。
 地域医療構想の実現に向けて、調整会議において地域の実情を踏まえた議論を促した。講演後の質疑応答では、民間病院と競合する公的病院の機能がきちんと精査されるべきであることを強調。働き方改革に関しては、タスクシフティングやチーム医療の推進を含め、「医師の働き方も変わる必要がある」と述べた。

 

全日病ニュース2017年7月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病の各支部(准支部):全日病について - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/about_us/chapter/

    5, 227, 猪口 雄二, 101-8378, 千代田区猿楽町2-8-8 住友不動産猿楽町ビル 全日病
    事務局内, Tel. 03-5283-7441. Fax. 03-5283-7444. 神奈川, 85. 7, 78, 山本 ... 4, 65,
    田蒔 正治, 770-8564, 徳島市幸町3-61 徳島県医師会館内, Tel. 0886-22-0264. Fax.

  • [2] 公益社団法人 全日本病院協会 定款

    https://www.ajha.or.jp/about_us/teikan/ajha_teikan_1.pdf

    松村耕三、市原健一、永井庸次、比企達男、美原盤、天草大陸、中村康彦、平山登 ...
    古城資久、西昻、宮地千尋、佐能量雄、濵脇純一、木下毅、川島周、田蒔正治、松 ... 夫
    猪口雄二、神野正博、業務執行理事(常任理事)は、大橋正實、德田禎久、中村.

  • [3] 地域包括ケア病棟 対象患者の拡大や回リハとの機能の違いの明確化が ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150701/news11.html

    2015年7月1日 ... 会長 西澤寛俊 北海道(医)西岡病院理事長副会長 猪口雄二 東京都(医)寿康会病院
    理事長安藤高朗 東京都(医)永生病院理事長 ... 毅(医)戸田中央総合病院理事長〃
    中村康彦(医)上尾中央総合病院理事長千葉県平山登志夫(医)平山病院理事長東京
    都飯田修平(公財) ... 医)光風園病院理事長徳島県川島 周(医)川島病院理事長〃
    蒔正治(医)たまき青空病院理事長香川県松井孝嘉(医)松井病院理事長 ...

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