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医療・介護・福祉の同時改定で「必要な対応を行う」

【政府】骨太方針2023を閣議決定

　政府は６月16日、経済財政運営と改革の基本方針2023（骨太方針2023）を閣議決定した。６月13日の「こども未来戦略方針」で、「こども・子育て支援加速化プラン」の実現に向け、歳出改革を徹底するとの方針が示されたため、2024年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定の水準に関わる文言に注目が集まっていた。結果は、物価高騰・賃金上昇などの影響を踏まえ、「必要な対応を行う」となった。一定の配慮が行われた形だが、具体的な水準をめぐっての対応は、年末の予算編成に委ねられた形だ。

少子化対策で新たな税負担考えない
　「少子化対策・こども政策の抜本強化」では、次元の異なる少子化対策として、「こども未来戦略方針」に基づき、若い世代の所得を増やす、社会全体の意識や構造を変える、すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援するという３つの基本理念を踏まえ、抜本的な政策の強化を図るとした。そのために、「こども・子育て支援加速化プラン」を実施する。
　その上で、「財源確保のための消費税を含めた新たな税負担を考えない」ことを明言した。
　「加速化プラン」では、今後３年間の集中取組期間を設ける。子育ての経済的支援には、児童手当の拡充、出産等の経済的負担の軽減、地方自治体の取り組みへの支援による医療費等の負担軽減、奨学金制度の充実など高等教育費の負担軽減などを掲げた。また、妊娠期からの切れ目ない支援の拡充として、生育医療に関する支援も盛り込んでいる。
　こども・子育て予算を倍増するため、「加速化プラン」の検証を行いながら、政策の内容・予算をさらに検討。こども家庭庁予算でみて、2030年代初頭までに、「国の予算またはこども１人当たりでみた国の予算の倍増」を目指す。これらを実現するための財源確保については、「こども未来戦略方針」に基づき、「今後さらに政策の内容を検討し、内容に応じて、社会全体でどう支えるかをさらに検討する」とした。

物価・賃金の影響踏まえて改定
　骨太方針2023における社会保障制度に関する文言は、上記の少子化対策を踏まえたものとなっている。すなわち、少子化対策を着実に推進し、現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、「医療・介護等の普段の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要」と明言。全世代型社会保障の実現に向けて、改革の工程の具体化を進めるとともに、最新の将来推計人口などを踏まえ、給付・負担の新たな将来見通しを示すとした。
　2024年度の同時改定の文言は、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」となった。医療・介護団体などの要請により、「必要な対応を行う」ことが明記された。
　ただ、医療については、適正化の観点が強調されている。「１人当たり医療費の地域差半減に向けて、都道府県が地域の実情に応じて、地域差がある医療への対応などの医療費適正化」に取り組むことや、「引き続き都道府県の責務の明確化等に関し、必要な法制上の措置を含め地域医療構想を推進」することを盛り込んだ。
　通常国会で成立した改正健保法に盛り込まれているかかりつけ医機能が発揮される制度整備の実効性を伴う着実な推進や、地域医療連携推進法人制度の有効活用、医療法人等の経営情報に関する全国的なデータベースの構築にも言及した。
　そのほかの課題についても、「効果的・効率的に対応する観点から検討を行う」ことが指摘されている。
　医療DXについては、６月２日に決定した工程表に基づき、「必要な支援を行いつつ政府をあげて確実に実現する」とした。「マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取り組みを進め、2024年秋に健康保険証を廃止する」。
　医療DXを進める際には、「関連するシステム開発・運用主体の体制整備、電子処方箋の全国的な普及拡大に向けた環境整備、標準型電子カルテの整備、医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策等を着実に実施する」ことも明記された。