全日病ニュース
看護師等確保基本指針改定案を了承、近く告示へ
看護師等確保基本指針改定案を了承、近く告示へ
【医道審・看護師等確保基本指針検討部会】養成や処遇改善、研修、就業、新興感染症対応などで指針示す
医道審議会の保健師助産師看護師分科会・看護師等確保基本指針検討部会(萱間真美部会長)は8月24日、看護師等確保基本指針改定案を了承した。今後、労働政策審議会・職業安定分科会の意見聴取を経た上で、総務大臣と協議し、秋をめどに基本指針を告示する予定となっている。
看護人材確保法に基づき1992年に制定された基本指針の改定は30年ぶり。この間の2001年には「看護婦」が「看護師」に改正されるなど、看護師等をめぐる状況は大きく変化している。今後、少子高齢化の進展に伴い、現役世代が急減するなかで、看護ニーズは増大することが見込まれており、新たな基本指針の策定が求められていた。
基本指針案は、①看護師等の就業の動向②看護師等の養成③病院等に勤務する看護師等の処遇の改善④研修等による看護師等の資質の向上⑤看護師等の就業の促進⑥新興感染症や災害等への対応に係る看護師等の確保⑦その他看護師等の確保の促進に関する重要事項─で構成されている。
総合確保基金など活用して支援
看護師等の就業の動向をみると、1990年の83.4万人から2020年の173.4万人に倍増している。一方、2025年需給推計では、2025年の需要数の推計値は180.2万人であり、さらなる増大が必要という状況にある。2040年にかけては生産年齢人口が急減する。このため、2040年頃を視野に入れた新たな地域医療構想を踏まえ、地域別・領域別を含めた看護師等の需給推計を実施し、医療計画などの作成に活用することを求めている。
看護師の養成に向けては、地域医療介護総合確保基金により、看護師等養成所の整備・運営を支援することや、修学資金の貸与を含め、各医療機関や看護師自身または職能団体などが効果的な周知を行うことをあげている。看護師等学校養成所内のハラスメント防止に必要な体制を確保する必要性も強調した。
看護師等の処遇の改善では、◇労働時間短縮と業務負担の軽減◇年次有給休暇についても計画的に取得可能になる取組み◇ICTの積極的な活用などを通じた訪問看護ステーションにおける情報共有や24時間対応の効率化の推進◇地域医療介護総合確保基金による仮眠室・休憩スペースの整備等への支援を行うとともに、診療報酬で夜勤負担軽減に資する評価を行っていることから、その活用により看護師等の夜勤負担の軽減を図る─などの取組みが重要であると指摘した。
また、看護師の離職理由は、30歳代・40歳代では結婚、妊娠・出産、子育てが多く、50歳代では親族の健康・介護が多いという特徴があるため、看護師等の定着促進のため、ライフステージに対応した働き方を可能にする相談体制や環境整備が重要としている。
チーム医療を推進するためのタスク・シフト/シェアでは、特定行為研修が看護師の資質向上に資するとともに、医師の労働時間短縮への効果が期待されることを例示した。
研修等による看護師等の資質の向上では、◇病院等で看護師等のキャリア形成支援に取り組む。キャリア形成に資する研修等の機会を提供◇「新人看護職員等研修ガイドライン」の改定を検討し、すべての新人看護師等が基本的な臨床実践能力を獲得する体制整備などを図る◇個々の看護師の置かれた状況が多様であることを踏まえ、地域医療介護総合確保基金も活用し実施期間、実施方法などについて工夫した研修を行うこと─などをあげた。
特定行為研修については特に、病院等が、多くの看護師等が特定行為研修を受講しやすい仕組みを構築し、特定行為研修の知識・技能を実際の業務の中で積極的に活用していく環境整備に努めることなどが求められた。
看護師等の就業の促進では、都道府県ナースセンターにおける就業促進に向けた取組みの強化が明記された。公共職業安定所のスペースを活用した都道府県ナースセンターによる巡回相談の実施など緊密な連携を図ることが重要としている。医療機関等での取りまとめに基づくオンライン届出や、マイナポータルを通じた業務従事者届のオンライン届出の実施もあげている。
新興感染症や災害等への対応に係る看護師等の確保では、災害支援ナースの養成やリスト化を進め、新興感染症が一部の都道府県で集中的に拡大した場合などに全国レベルで応援派遣調整ができる体制の整備が重要とした。
看護補助者の名称は別に議論
そのほか、看護補助者について、病院団体の委員から、名称変更を求める意見が出ていたことを踏まえ、「病院等での呼称に関する好事例の情報発信」を明記した。厚生労働省は呼称について議論する場の設置を検討する考えを示している。
全日病ニュース2023年9月15日号 HTML版
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[1] 2022.6.1 No.1010
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2022/220601.pdf
2022/06/01 ... 下記日程で第 10 回定時総会を開催します。 公益社団法人全日本病院協会 会長 猪口雄二. ※ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から ...
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[2] 2022.10.1 No.1018
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2022/221001.pdf
2022/10/01 ... の医科分の加算措置の廃止でマイナス. 0.10%分を見込むことが、後藤 ... 特に、看護の処遇改善においては、 ... の受給資格を確認する際、患者がマ.
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[3] 猪口雄二会長が4期目 5名の副会長も続投
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2023/230701.pdf
2023/07/01 ... 全日本病院協会は6月17日に第11回. 定時総会を開き、次期役員を選任する. とともに、会長等選定理事会で、4期. 目となる猪口雄二会長の続投を決めた。
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