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ホーム全日病ニュース(2023年)第1040回/2023年9月15日号7対1病棟のB項目外しに猪口会長、津留常任理事ら反論

7対1病棟のB項目外しに猪口会長、津留常任理事ら反論

7対1病棟のB項目外しに猪口会長、津留常任理事ら反論

【中医協・入院医療等分科会】「重症度、医療・看護必要度」の分析結果示される

 中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は9月6日、診療情報・指標等作業グループからの報告を受けるとともに、入院医療に関する議論を続けた。看護配置が7対1の急性期一般入院料1は、高度かつ専門的な医療を担う病棟であるとの観点から、B項目の除外など適正化の方向での意見が示されたことに対し、全日病の猪口雄二会長や津留英智常任理事が反論。高齢者救急が増加する急性期医療の現場の実態に即した見直しを求めた。
 診療情報・指標等作業グループの中間報告では、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の分析結果に対する意見として、「7対1病棟に求められるような高度・専門的な医療を必要とする患者への対応を評価する観点からは、B項目はなじまないのではないか」、「急性期医療を必要とする患者に対する医療・看護を適切に評価する観点から、A項目のうち『救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態』については、日数の短縮化や、5日間の中でも入院後日数によって重みづけすることが考えられるのではないか」といった意見が示されている。
 このように「重症度、医療・看護必要度」のB項目(患者の状況等)の除外やA項目(モニタリング及び処置等)の「救急搬送後の入院/緊急に入院を必要とする状態」の適正化の提案が含まれた。なお、津留委員は、診療情報・指標等作業グループの一員であり、そこでの議論により、B項目の除外を提案する意見は、原案より弱められた表現になっているという。
 津留委員はまず、「7対1病棟がいつから高度かつ専門的な医療を担う病棟に限定されることになったのか。違和感がある」と述べた。
 その上で、「急性期の高齢患者の多くは複数疾患を併せ持つマルチモビディティの患者で、認知症の症状もある。看護・介護の手間が非常にかかり、看護配置が13対1の地域包括ケア病棟等(以下、地ケア病棟)への直入で対応できるかというと、それは無理があるとするのが妥当だ。7対1病棟を高齢者救急から切り離し、7対1病棟を減らしたくても、今後高齢者救急はどんどん増える。B項目を外すというのであれば、看護・介護の手間を新たに評価した入院基本料の見直しを行わないと、現場は回らない」と強調した。
 猪口委員は、「急性期病棟に搬送される高齢者はすぐに診断がつけられず、経過を観察する必要があるので、7対1病棟が望ましい。早期に地ケア病棟に転院させることを評価する加算があれば、そこがスムーズに動くようになっていく」と述べ、転院を支援する診療報酬上の評価を強く求めた。
 名古屋大学医学部附属病院卒後臨床研修・キャリア形成支援センター教授の秋山智弥委員は、「B項目は看護の手間と相関しているので、必要な指標である。むしろ再入院を防ぐという観点などから評価項目を増やすべき。急性期医療になじむB項目を再構築することが必要だ」と主張した。
 一方、旭川赤十字病院院長の牧野憲一委員は、「B項目はどこかで外す方向を考えないといけない。ADL対応を評価しないということではなく、看護職員が評価を行うのに要する労力を減らすためだ。また、急性期病棟の受け皿としての地ケア病棟を確保できないと急性期医療は回らない。しかし、最近の診療報酬改定では、地ケア病棟のポストアキュート機能への評価を厳しくした。地ケア病棟のポストアキュート機能が制限されることを危惧している」と述べた。
 同日の分科会では、急性期入院医療(その3)、回復期リハビリテーション病棟(その1)、慢性期入院医療(その2)の議論も行っている。
 急性期入院医療については、リハビリテーションや栄養などの取組みとその連携の推進が論点となった。
 特に、猪口委員が「急性期病棟からの退院時にADLが低下していることが多い。ADL低下を予防する対応はとても大事」と述べるなど、届出が低迷しているADL 維持向上等体制加算の改善を求める意見が相次いだ。津留委員は、早期離床・リハビリテーション加算や入院栄養食事指導料などの施設基準の緩和を提案した。

 

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